庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

たぶん週1エッセイ◆
映画「マン・オブ・スティール」
ここがポイント
 哀しくも抑えた重い前半とひたすら戦いが続く後半にハッキリと分かれる作品
 前半は辛い部分の多い親子愛が描かれていて叙情的で感動的だが、後半は昔の怪獣映画みたい

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 スーパーマン/クラーク・ケントのエピソードゼロ「マン・オブ・スティール」を見てきました。
 封切り5週目日曜日、新宿ミラノ3(209席)午後1時40分の上映は3〜4割の入り。

 高度の文明を発達させ遠い宇宙に惑星探査を行い植民してきたが資源乱開発の結果爆発で消滅する運命となった惑星クリプトンで、今や稀な存在となった自然に生まれた赤ん坊のカル=エルを、クーデターを起こしたゾッド将軍(マイケル・シャノン)らの部隊から守るため、父ジョー=エル(ラッセル・クロウ)は、宇宙船で黄色い太陽を回る惑星に送り込む。その直後ジョー=エルはゾッド将軍に殺害されるが、ゾッド将軍は元老院の応援隊に捕らえられて幽閉され、しかしその後時を置かずクリプトンは爆発してカル=エルの母らも死亡、ゾッド将軍らは解放された。地球でジョナサン・ケント(ケビン・コスナー)とマーサ・ケント(ダイアン・レイン)夫婦に育てられたクラーク・ケントことカル=エル(ヘンリー・カビル)は、特殊な力を持っているが義父から力を隠すように言われてきた。義父の死後、青年となったクラーク・ケントは人命を救助しては姿を隠すという生活を続けていたが、カナダの氷河の下に埋もれた宇宙船でジョー=エルが残した映像から自らの出自を知ることになり、その時に命を救ったデイリー・プラネット紙の記者ロイス・レイン(エイミー・アダムス)に宇宙人と気づかれる。ロイスの調査がクラークの足元に及んだとき、宇宙船で地球にやってきたゾッド将軍が地球人に紛れ込んだ1人のクリプトン人の存在を指摘して24時間以内の引き渡しを求め…というお話。

 惑星の滅亡とクーデターの危機から自らを犠牲にしても我が子を救おうとする父母、不思議な力を持ちながらその力を封印するように指示され、時に人命を救うため思わずその力を使ってしまっては周囲から怪しまれて苦しむ少年時代のクラーク、自分は何者なのかと疑い苦しむクラークという哀しくも抑えた重い前半と、ゾッド将軍登場後のひたすら戦いが続く後半にハッキリと分かれる作品です。
 前半は、辛い部分の多い親子愛が描かれていて、叙情的です。前半のクライマックスとなる義父の死の場面、助けようとするクラークに対して、その力を見せてはいけないと右手を挙げて示し、黙って死んでいく義父の姿は感動的です。
 それに対し、後半は…スーパーマンが空を飛ぶシーンの異常なまでの速さ、戦闘シーンでのぶつかり合う速さとぶっ飛ばされて飛んでいく速さは驚くほどですが、それに寄りかかりすぎで次第に飽きてきます。いや、ゾッド将軍が地球に登場する前の、抑えに抑えてきたクラーク・ケントが初めて空を飛ぶシーンとかは、その速さが快感なんです。また、戦いのシーンの異常なスピードも、最初の方は圧倒され、スリリングに思え、いいんですよ。でも、延々とそれを続けられると…。後半はなんか昔の怪獣映画を思い出してしまいました。ただひたすらにはね飛ばし合いビルを壊し続け、怪獣はやっつけたけど街は全滅みたいな…目から光線も発してますし…

 スーパーマンが生まれた惑星クリプトン。再処理工場では日常的に大量に放出され、原発事故の際にも大量に放出されて、初期に強い放射線を出すために住民の被ばくに大きく寄与した恐れがありながら測定ではなかなか補足できないやっかいな放射性希ガスが(キセノンと)クリプトンです。フクシマ後の現在、あまり使って欲しくない名前です。
 タイトルのマン・オブ・スティール(鋼の男)。あれだけのスピードでビルに衝突し(衝撃力を受け)、床・道路・大地をすべり(摩擦力を受け)続ければ、鋼でも軽く壊れ摩耗して消えてしまうと思うのですが…地球には存在しない元素が検出されたとかいってるのですから別の金属を考えた方がよかったのでは?
(2013.9.29記)

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