◆たぶん週1エッセイ◆
映画「白雪姫と鏡の女王」
18年間籠の鳥だった白雪姫が、村人の窮状を見、森で小人たちと過ごすうちに見せる成長ぶりが見せ場
コメディとしては、ジュリア・ロバーツのわがまま女王ぶりというかその意識的なパロディを笑えるかがポイント
白雪姫と継母のバトルコメディ「白雪姫と鏡の女王」を見てきました。
封切り2週目土曜日、新宿ミラノ1(1064席)午前11時30分の上映は1割くらいの入り。
雪のように白い肌と黒い髪を持つ白雪姫を産んですぐ王妃が亡くなったため父王(ショーン・ビーン)は男手一つで白雪姫を育てるが、男では教えられぬこともあると悟って世界一美しい后と再婚し、その後森で行方不明となった。以来、白雪姫(リリー・コリンズ)は城内で幽閉され、浪費好きな女王(ジュリア・ロバーツ)に厳しく徴税されて村人たちは歌って踊る生活ができず食べ物もなく飢え、王室も破産に瀕していた。ある日、森を旅していた隣国の王子(アーミー・ハマー)が7人の盗賊に襲われ逆さ吊りにされていたのを城を抜け出した白雪姫が見つけて縄を解いた。王子は城に迎えられ、女王は王子と結婚して夫と富を得ようとするが、王子は白雪姫に一目惚れしてしまう。女王はブライトン男爵(ネイサン・レイン)に白雪姫の殺害を命じるが、ブライトンは白雪姫を森に逃がす。7人の小人に助けられた白雪姫は、盗賊で身を立てる7人の小人に村人から盗むのはやめるようにいい、小人たちから剣術などを習う。女王は惚れ薬で王子の心を奪い、結婚式を企て、それを聞いた白雪姫は7人の小人とともに結婚式を妨害するために乗り込むが・・・というお話。
あり得ないような断崖に建つ城(実際にあったら難攻不落だろうけど、攻められたとき逃げる道もないよね)にも象徴されるように、童話・ファンタジー・コメディですから、設定もストーリーも荒唐無稽なの、そこは気にしないでねって、そういう作品です。
コメディとしては、ジュリア・ロバーツのわがまま女王ぶりというかその意識的なパロディを笑えるかどうかがポイントでしょう。「トリートメント」のグロテスクさとか、コルセットを締めるシーン(「昔と同じサイズね」)とか・・・
コメディの要素以外の部分では、18年間籠の鳥(女王は「引きこもり」っていってますけど)だった白雪姫が、村人の窮状を見、森で小人たちと過ごすうちに見せる成長ぶりが見せ場です。特に、姫を王子が助けに来るという結末を変えなきゃといって、自ら積極的に飛び出していく姿が印象的です。「目覚めのキス」も白雪姫の方からしに行きますし。王子のいまいちさえない様子とあいまって、現代では姫は王子の助けを待つのではなく、自分の道は自分で切り開く、自ら積極的にイケメン王子をゲットしに行くって、そういうメッセージになっています。
目立たないところではありますが、父王が民衆の前で自分がすることを説明する場面で、「私が私に与えた権限で」といって苦笑いするシーンがあります。王の権限なんて根拠があるもんじゃなくていい加減なものという思いもあるでしょうか。
そういった童話の世界自体の民主主義的・平等主義的視点からのパロディが垣間見えるのが微笑ましいと思いました。
ラストで、それまでの話の流れからすると村人が歌って踊るのが素直な気がしましたが、いきなり白雪姫が歌って踊る、それもいかにもインド映画的な歌と踊りなのが笑えます。
(2012.9.22記)
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