◆たぶん週1エッセイ◆
柏崎原発の水素爆発対策について規制庁に聞いてみました
2022年3月15日 もっかい事故調 原子力規制庁ヒアリング
オペフロ(原発の原子炉建屋最上階)以外に水素除去装置(PAR)を置かないという東電の水素爆発防止対策について規制庁を追及した結果、「今の事故分析のその結果を踏まえれば我々もこの今まで出してきた許可でやっている解析がもしかしたら間違ってるかもっていう可能性を消してるわけじゃないです」という回答を得ました。
2022年3月15日午後3時から、もっかい事故調主催で阿部知子衆議院議員に取り計らっていただいて、柏崎刈羽原発等の水素爆発対策について、原子力規制庁にヒアリングを行いました。
原子力規制庁側の対応者は次の4名です。
〇長官官房技術基盤グループ技術基盤課 課長補佐 鈴木健之
〇原子力規制部東京電力福島第一原子力発電所事故対策室 管理官補佐 正岡秀章
〇原子力規制部東京電力福島第一原子力発電所事故対策室 管理官補佐 佐藤雄一
〇原子力規制部審査グループ実用炉審査部門 係長 佐藤裕史
説明、質疑の動画はこちらからご覧いただけます→BWR型原発の水素爆発対策に関するヒアリング
以下、私が担当した、柏崎刈羽原発その他の沸騰水型原発(Boiling Water Reactor=BWR)の水素爆発対策で、水素除去装置(「静的触媒式水素再結合装置」:Passive Autocatalytic Recombiner=PAR)を原子炉建屋最上階の壁際にだけ配置する(そこ以外にはまったく置かない)という東電等の申請に対してなぜそれで許可したのかという点についての質疑を紹介します。
発言者の後の数字は、動画の開始からの経過時間です(気になる方は動画のそのあたりをご視聴ください)。
1.なぜ福島事故では下層階で爆発したのに下層階にPARを配置しなくていいのか?
22分30秒ころ~42分40秒ころ
伊東(22:30):続いて伊東の方から質問させていただきます。私の方は先程から話題になっている発生した水素をですね、再結合させて一応水に戻して水素を除去するというPARという装置についてどこに配置するのかという問題で2つの質問を投げております。1つめは、澤井さん、3号機の断面図出してくれます?
伊東(23:07):今から概念図というか断面図が出ます。これ自体は規制庁さんのですね、現地調査の報告書から抜いたやつですけれども、要するに福島の3号機の原子炉建屋の概念図ということですね。沸騰水型の場合にはここで書かれておりますように、1番上の階、最上階がオペレーティングフロア、オペフロと言われておりますけれども、こういうものがあって福島原発の場合は5階建てなので5階がオペフロということでその下に原子炉建屋が何階か、要するに福島であれば5階建てなので1階、2階、3階、4階というふうにフロアーがあるわけですね。原発によってですね、たとえば柏崎は4階建てなので柏崎はオペフロ4階ということになるわけですけれども、とにかく一番上の階がオペフロということになります。で、問題はそのPARにつきまして先程のですね、適合性審査でのですね、お話というのがありましたけれども、例えば柏崎の適合性審査のですね、審査書などを読んでおりましてもPARは原子炉建屋オペレーティングフロア内に分散させて配置をすることということを事業者がとってそれを規制委員会がOKしたという形になっているわけですね。ところがですね、この福島原発の3号機で水素爆発が起こった場所というのはこの断面図でいけば調査箇所というのは調査の報告書から出しているので別にそこは今の話とは関係ないんですけれども、福島3号機では4階で水素爆発が起こったというのが規制委員会さんのお考えであるというふうに認識をしております。4階で起こってあと3階と5階でも起こったかもしれない。で、むしろ5階はむしろ大きな爆発じゃなかったんじゃないかというのが規制委員会さんの検討の経過をみているとそういうご見解のようにお聞きしております。それから4号機ではやはり4階で水素爆発が起こったというふうに、これは東電の最初の報告書からそのように書かれておりまして別にそれについて違うんだという話は聞こえてこないわけですね。まぁ1号機に関しては東電とか規制庁さんは5階で起こったとオペフロで起こったとおっしゃっておって、新潟県技術員会では4階でも起こったんじゃないかというふうに言っておると。1号機はそこで争いがあるんですけども、3号機、4号機についてはですね、オペフロ以外で下層階で水素爆発が起こったということについては多分異論はない話なわけですよ。それなのに先程も聞きましたようにですね、適合性審査、例えば柏崎でいえばさっきのオペレーティングフロアにPARを分散して配置するということで事業者が言ったのを規制庁さんはそれで規制委員会としてはそれでOKで変更許可を出しているわけですね。そのあたりはどういうお考えでそういうふうに考えておられるのか、現に福島事故でオペフロよりも下の階で水素爆発が起こっているのにどうしてこのPARをですね、下層階におかなくて良いという前提で変更許可を出されているのかということについて非常に疑問に思われる。本当に普通に考えて、どう考えてもおかしいんじゃないかと我々は思うのでそこをどういうお考えでそのような許可をされたのかということをまずは教えていただきたいなというのが質問の1です。よろしくお願いします。
規制庁佐藤裕史(26:50):実用炉審査部門の佐藤ですけれども、すごい端的に言ってしまうとさっき鈴木の方からも言いましたけどこの事故分析、多分今おっしゃったやつってうちの中間とりまとめ、この間出したやつですね。なんかうちとしては知見としてまぁこういうこともあるんじゃないかって出してると思うんですけど。先程も言いましたけどそれはまだ基準に反映する手前の段階なわけですね。本当にそんなことが起こったのかどうかも含めて今調査を進めてる。で、今なんで許可出したんですかっていうお話でしたけど、単純に今のPARの配置で建屋の全フロアーで水素の可燃限界未満に抑えられるっていう評価を事業者としていて我々としてその評価が妥当だからという判断をしているからですと。しかし今回の1Fの事故分析、今回の中間とりまとめの知見みたいなもので、なんか実はオペフロ、オペフロというか、下層階ですね。下層階でも水素の滞留みたいなものがユニバーサルにあらゆるプラントにおいて起き、起きてしまうんじゃないか、これが例えば1Fの構造的な特定の問題だったら他のプラントにそのまま敷衍できるかっていったらちょっと疑問になってくるわけですけど、あらゆるプラントの建屋構造の、建屋構造でこういう下層階の水素の滞留みたいなものが起きて上層階じゃなくて下層階でも水素爆発の起きる可能性みたいなものが実際にその知見として確定すればそれは当然基準にはねかえってきますし、そうなった場合にはバックフィットっていう可能性もあると思います。現状はただたんにそこまでその基準への反映なり、バックフィットへの反映なり、我々がとりまとめた事故分析の知見がたどり着いてないっていうそういうだけの話です。以上です。
伊東(28:41):おっしゃったね、伊東です。おっしゃったその事業者の解析というかね、それが妥当と判断したというのはもう少し具体的にですね、どういうことを考えてどういう理由で妥当と判断されたのかというのをもうちょっと教えていただけませんか。
規制庁音声中断
規制庁佐藤裕史(29:32):はい。ご存知かもしれないですけども、大体事業者において格納容器からある一定の条件において水素が建屋に漏洩したときにその水素が建屋内でどういうふうに分布するかっていう数値計算でもってくるわけですね。で、そのある仮定のもとで計算したその数値計算の結果の中に当然そのPARに相当する、パラメーターの実際の配置にならって入れて数値計算でまわしてみてまわしてその結果出てきた評価結果が、全フロアでちゃんと水素が燃える、可燃限界以下まで抑えられてますねっていうものを、評価させているわけです。その評価内容だったり評価に使った手法だったりをちゃんとそのわけのわかんない、その計算してたりしたら当然そんなのダメだっていうわけですし。ちゃんと過去にその同じような計算で実績をもってる数値計算コードで使ってるだとか不確定性とかもきちんと考慮してますとかですね。そういったところを審査の中で確認して妥当な評価をしてるかどうかっていうのをみていくっていうことになります。
伊東(30:36):今PARの配置もってことをおっしゃったんだけれどもそれ私の次の質問のオペフロに中でどこおくのかっていう話とに混同してはいませんね。今下層階で漏洩したときにそれがスムーズに電力会社はダクトを通じてオペフロに流れるというふうに言ってるわけですけれどもそちらの解析の話ですか。よろしいですか。
規制庁佐藤裕史(31:03):どっちも同じ解析の話なんですけど。要はもうちょっと詳しく言うと建屋をブロック状に分割してですね、空間をですね、ちゃんと、そのオペフロの、オペフロのフロア、オペフロだけじゃなくて全フロアちゃんとそうやってモデル化した上でPARの配置を実際に配置を模擬して、パラメータ入れて計算する、ということをやっているわけです。なんで次の5ポツのご質問(注:オペフロの中で壁際にしか配置しなくていいのかという質問)もまぁ結局、だから同じ回答にしかならないんですけど、現状事業者がやってきてる評価について、さっき言ったような観点で確認をして、妥当だって判断しているんで許可を出していますけど当然事故分析の中では新しい知見が出てくれば必要に応じて基準に反映するなりバックフィットにかけるということになるってことです。
伊東(31:54):5の(質問の)方はちょっとまだ別の問題があるかもしれませんけれども、今の4(の質問)の下層階の話ですね、これは先程も言ったようにわかんない、要するにゼロから議論をしている話じゃなくて、福島で現に下層階で爆発しているということがあるわけですね。そこんところをおいて現に福島で4階で爆発しているのに、要するに他の柏崎なり他のですね、最初のところでは結局下層階でハッチから漏洩したものがダクトから速やかにオペフロにいってね、滞留しないと解析がされたとしても現に福島で起こっていることを解析では起こらないと言われたとしてもそれで納得するんですかっていうのがすごく疑問なんですけど。
規制庁佐藤裕史(32:44):まず我々の立場としては本当に下層階で爆発が起きたかどうか結論は確かまだ出してなかったと思うんですがそういう可能性があるっていう多分中間とりまとめでは出したと思いますけど。その上でさっきも言いましたけど下層階も含めて水素濃度を評価している。その結果可燃限界になってないっていう評価を出してきているわけですね。でもおっしゃる通り当然それはなんらかのモデルだったり想定をおいた上で計算をしているので今回の事故分析でなんか我々が見逃しているような例えばパラメータなり、考慮事項があって実際にはユニバーサルにはいろんなプラントで下層階に水素が滞留する可能性が知見として出てくればそれは当然基準にはねかえってくるっていうことになるっていう話です。
伊東(33:33):先程からですね、ちょっと考え方として気になるところなんですけれども、要するに福島以外のですね、原発でもユニバーサルにどの原発でも下層階に滞留して爆発するという知見が得られたらそこで初めて下層階に置くかどうかを議論するというふうに先程から言っておられるように思われるんですね。でも福島事故前はそういうお考えだったのかもしれないけれども、福島事故後は基本的に起こるかもしれないことは起こるという前提で対応するというのが多分規制委員会、規制庁さんのスタンスになったはずだったと思うんですね。ところが今福島で現に下層階で起こっているんだから、だから要するに電力会社の方が解析で起こらないと言ったとしてもそれによって下層階で起こらないということが示されたわけではなくて、さっき言ったようにわからないところなんかですね、普通これまでのように今の考え方、本来は起こるかもしれないという事が払拭できなければ対策しろというスタンスのはずだったんじゃないかというふうに私は思っているんだけれども、なんかそこが先程からのですね、お話を聞いてると違うような考え方、要するに先程言われた、福島以外でもね、こう起こるということが知見として得られたらそこで初めて反映するかのように言われてるのは考え方がおかしいといったらなんですけれども違うんじゃないかと思うんですがそこはどういうお考えなんでしょう。
規制庁鈴木(35:10):規制庁技術基盤課の鈴木でございます。あの、ちょっと今1Fの中間とりまとめをその後どう規制に反映していくのかっていう議論をやっている点から一言申し上げると多分その、他のBWRですね、いわゆる福島ではなくて今4つご指摘されたBWRが当時の福島と同じように建屋の中の状態ですね、全てとは言いませんけれども、状態で比較して1Fで下層階で爆発が起こりました、可能性があります。じゃ、他のものも1Fと今全く同じ状態の建物だよね、じゃどうしようってなったら多分お話としてはあるんだと思うんですけれども、その下層階からオペフロにかけての部分はいわゆる大物搬入フロアのところを各フロア、ツーツーにして開けていて基本、その当時の1Fと今のそのBWRとはそこの違いはまず一つありますと。それによってある程度オペフロの方に空気が流れていくルートはあるんですけれども、じゃそれによって1Fで起こる下層階の滞留と今後起こるかもしれない下層階の滞留と、多分規模とかどこに配置するとか多分そこの違いが出てくるんだと思います。それが何らか追加で手を打つ必要があるという議論に結論が達するとそれは基準で変えるのかさっさとPARでも置けよとなるかはわかりませんけど、そういうところの差分はあるんで1Fで起こって今のプラントは1Fとはある程度設計上は違いますと。まぁ設計といっても搬入口の開放なんで運用ですけど。違いますと。じゃそこの差分によって100%解決できてますかっていうとちょっとそこには、うーん、まだ議論の余地があるなっていうのが、あのなんでして、他方でじゃ絶対起こるだろう1Fで起こったんだからっていうほど強いものがあるかというとそこまでじゃない。そこの部分をどうやって解決していくかっていうのがそれが今我々規制委員会の、規制委員会っていうか、規制委員会から作業チームで議論しろよと、検討しろよと、委員会に報告しろよと。言われている私に課せられている話だというふうに理解してます。
伊東(37:24):そこんところの話はね、私はむしろ絶対起こるかどうかっていう話はそれはわかんないとは思うんですけれども、先程も言ったように福島事故後は絶対起こるとかそういうことじゃなくて起こるかもしれないということであればね、それはまず対応しようっていうスタンスじゃなかったのかということについて今の説明でやっぱり違う感じがするんです。やっぱり福島事故であんなことが起こっちゃったんだからやっぱり起こるかもしれないことは起こるという前提で対応するという話であるとすれば、やはり福島、逆に言えば福島では確かにこういう事情、特殊事情があったので下層階で爆発が起こりましたけれども他の原発では逆に絶対、絶対じゃなくてもいいです。ほぼこういう事情からは起こる可能性はほとんどありませんということをむしろ立証責任が逆じゃないかと思う訳ですよね。それが電力から示されて規制委員会としてもそれはなるほどだということで本来たとえね、他の原発では起こらないということが確認されたという話で初めてここでなんていうかいらないということで許可が出るという話になるはずなのに、そこんところがまだとりあえず言われたので、ということで福島で起こったことはどうして、じゃ福島では起こったけれども柏崎で起こらないというのか、その根拠部分がどれぐらいハッキリした話なのかということ、そこんとこ、先程からの議論でね、あんまり確認されてないというか、確信を持ってね、やってるんじゃないように思われるんですけども、ここは何か福島では起こったけれども柏崎等では起こらないと構造の違いとかそういうことによって起こらないということがかなりの確度を持って確信できているんでしょうか。
規制庁正岡(39:18):規制庁の正岡です。ちょっといろいろご指摘のおっしゃっていることはよくわかります。まず設計の、設計を超えたところの話があるのかなって思っておりまして、で、今そのゴシックの話とかですね、それはですね、当然その元々今回SAっていう基準が入ってきて燃料が溶けて窒素の中なんですけどかなり水素リッチになると。格納容器の。で、そこからですね、設計の範囲では一応格納容器からの漏洩率っていうのを考えておりまして当然設計で考えられている範囲、SAも含めて200と2TDですね。そういう条件である程度出てくるっていう評価はしてるんですけど、それを更にうわましして設計より超えるようなものが出てきたとしても今建物の上と下がつながってる機器搬入口が全部開放するとかですね、そういうことによってある程度水素は軽いので上に行くだろうということでゴシック解析をして、で、それで上の方にPARがあってきちんと燃えますと。あくまでもそれはおっしゃる通り設計の話だと思ってます。で、一方で福島の時もそうなんですけど必ず設計を超えるのか超えないのか当然その超える事象があるわけなんですよね。で、今その超える事象に対してはですね、例えばその当然漏れやすい箇所っていうのはシールの部分とかわかっているんですね。そこに水素検知器をつけておりまして、それは設計以外の大規模損壊っていうところの手順なんですけど、そういう漏れやすい所に水素検知器をつけて、水素が2%、まぁプラントによってもちょっと違うんですけど、2%になったら、例えば4階とか5階にあるブローアウトパネルっていってですね、建屋の壁についているパネルを開けてですね、もう、水素を逃がすとかですね。あとはそれを更に超えていくとですね、もう根本的に格納容器の圧力を下げる、その水素基準で格納容器ベントをするってですね、そういうことも設計を超えたところとして準備しておりまして、じゃそれで本当にじゃ局所的にたまるようなことはないのかっていうのは当然ご懸念としては残ってると思ってます。で、そういうことで水素というのは小さくて軽くて挙動がかなり不確実さが大きい事象だと思っておりまして、そういうことで今のその基準としては設計の範囲で燃えること、更には設計を超えたところでいろいろご議論があるかもわからないですけど、空気をまず逃がすとか格納容器から逃がす手順が整備されていることっていうので許可をしてるんですけど、今回の福島の中間のとりまとめをふまえてそういう不確実性の多い水素の挙動に対してどこまで何を求めるのか、不確実性が、なんでも規制要求してそれを基準として入れるのか、それともそういう事業者の、なんていうんですかね、自主努力みたいなの促すのがいいのかとかですね。そういう、まさにその水素の問題というのは非常に不確実性が大きいことですね。委員会としてもそういうことで注意は払いつつ、だからどういう形で要求をすべきかっていうのを検討してるっていうのが現状です。だから、その、先生がおっしゃる通りですね、今これでもう完全にOKですとか、そこまで考えていませんというつもりはなくてですね、そういうことで今も現状も引き続きうちの中でも考えてるっていうのが、そういう今状況です。以上です。
2.解析の信用性:その解析で福島事故の爆発は再現されたのか?
1時間12分ころ~1時間15分30秒ころ
伊東(1:11:57):続きなんですけれども、先程解析の関係でね、今いろいろ議論ありましたけれども、ちょっとどうしても私の方で聞いておきたいのはですね、柏崎とか動かす方の原発で、こうですっていう解析はでているのはわかっているんですけれども、東電は福島の3号機、4号機について、要するに同じような解析をしてですね、福島では現に水素がここで滞留して、だから4階で爆発したんだということを解析してるんでしょうか。要するにこれまでもね、結局電力会社って起こらない、起こらない、起こらないっていう解析ばかりやってるわけですね。現に事故で起こったのがちゃんと事故が起こったことが再現できるような解析をしてるのかどうか、まさにその解析が信用できるのかどうかということがね、確認した上で、その前提でですね、他の原発ではこう条件違うからこういう解析で起こりませんていう話ならまだわかるんだけれども、ちゃんと、その福島3号機、4号機で4階で水素滞留して爆発に至りましたと。当然、現に事故ではこうなりましたっていうような再現解析はされてるんでしょうか。
規制庁佐藤雄一(1:13:11):福島事故対策室の佐藤と申しますけれども、ちょっと今手元にないので詳細な解析結果っていうのは持ってませんが、東電の方でも一応解析はしているというふうな認識はしています。
伊東(1:13:24):そこではちゃんと4階で水素が滞留して、それがね、その規制庁さんも3号機、4号機については現地の調査をされたわけですよね。東電の水素がこんだけ溜まったという解析と現場のですね、爆発の状況というのは符合されているんでしょうか。
規制庁佐藤雄一(1:13:50):ちょっとですね、私もですね、この規制庁の調査は東電のものを、例えばもう一度やってみるとか、そういった観点でやっているものではないのでちょっと東電側の調査とそのまま整合しているかどうかってとこまでの話っていうのは規制庁としてなんかやっているものではないんですけれども、なんで、ちょっと、すいません。今手元にないので。やっているということは認識してますし、結果も確か下層階にも確かある、その4階か3階かちょっと忘れ、確か4階だったと思うんですけれども。滞留するっていうところの懸念はありますっていう、確か調査結果はあったと思いますけれども、ちょっとそれが今回我々が分析したようなですね、ものとの整合との観点、我々はそういった面では例えば先程から出ているゴシックとかそういった解析コードで解析っていうのは事故分析の観点からはしておりませんので事業者の方はどっちかっていったらそういう解析的な解析コードを用いた検討をやっておりますので。
伊東(1:15:04):その解析のね、結果、じゃ、あとからで結構ですのでどこに出てるのかちょっと教えてくれませんか。こちら東電が再現したというのはね、本当に再現できているのかどうか確認したいんで。
規制庁佐藤雄一(1:15:19):なるほど。はい、わかりました。ちょっと私も記憶の限りですので、ちょっと間違ってる場合は、またちょっと、その時にいろいろ訂正等させていただきます、はい。
※このときの宿題で、規制庁から後日来た回答は、な・な・なんと…
原子力規制委員会は、柏崎刈羽原発の原子炉建屋下層階(オペフロ以外)で水素が漏洩した場合でも(水素がダクト経由で速やかにオペフロに移行し)下層階で滞留したり爆発することはないという解析を、その解析手法で福島原発3号機や4号機の水素漏洩を解析した場合には下層階で滞留・爆発が生じるという解析結果が生じる(現実に起こったことを解析で再現できた)ことを検証もせずに、信頼性が高いとして東電の水素爆発対策を承認したということになる。私が聞いたこと、電力会社はいつも事故は起こらないという解析しかしない、それを鵜呑みにするのでは福島事故前と同じ、それどころか福島事故で現に起こったことさえ「解析では起こらない」と言われてそれを検証もしないで信じるなら、福島事故前以上に規制の体をなしていないのではないかという懸念は、大当たりだった。
3.PAR配置問題についての現在の規制庁の姿勢
1時間15分30秒ころ~1時間21分40秒ころ
伊東(1:15:28):それともう一点。先程話題になったまさに規制庁としてもですね、現在検討中ということに関してなんですけれども、佐藤さんも出られているこの事故分析検討会のね、去年の9月14日とそれと12月3日の時に岩永さんがそういうことを聞いておって。で、それは議事録読んでるんですけれども。ただ、確かにさっきから私が聞いていることは規制庁さんもある程度同じ問題意識を持ってると私は思ってるんですけれども、規制庁さんの方からもですね、そういう質問がなされているんですけれども、ただ議事録読んでるとかなり遠慮がちに質問されてなんとなく電力にいいくるめられているように私には読めてしまうのですが。その後2月のですね、会合の方、議事録出てないんで読んでないんですけれども、なんか要するにその流れをみていると結局問題意識は持っているんだけどなんとなく電力に言われてこう何かしりすぼみになっているように私には読めてしまうんだけれども規制庁さんとしては今後この問題でどう展開されるご予定なんでしょうか。
規制庁佐藤雄一(1:16:37):福島第一事故対策室の佐藤ですけれども、検討会の方、いろいろご視聴いただいているということでありがとうございます。いいくるめられているという、この議事録を読まれている限りではこちらもですね、事業者としてもですね、本音ベースというとあれですけれども、当然我々が許可を与えている被規制者ではありますのでそういった側面はあるけれども、もう一方、一技術者としてですね、我々の中間とりまとめに対してどう思っているのかっていうのをいろいろ聞き出したり、あるいは中間とりまとめで出てきた、そういういろんな知見ですね、そういったことに対してどう考えているのかっていうのをいろいろ聞き出すためのですね、やりとりとして、やらしていただいてますので、あくまで事故分析は許認可とは直接的には関係ないという話を先程させていただきましたけれども、その場、事故分析検討会の場ではですね、そういったところを関係なくということで話をさせていただきましたが、ちょっと事業者に遠慮がちとかそういうふうにちょっと捉えられてしまっているというところはちょっと反省すべきところはあるかなとは思います。その事業者との対話っていうのが事故分析検討会の一つの大きな材料でありますけれどもメインではないので、今後も引き続きやるということは今のところはないんですけれども、またそういう場があればですね、もう少し、こう、つっこんだような議論がですねできるような努力はしたいと思います。すいません。ありがとうございます。
伊東(1:18:24):柏崎の5番(の質問)に入って、柏崎の絵出してくれますか?
伊東(1:18:47):PARの、オペフロでの配置ですけれども、これ、柏崎の6か7、多分6だと思うんですけれども、実配置のですね、写真とそれから配置図というのが新潟県技術委員会に東電が出したもの、出ているわけですね。さっきの解析と、解析、どっちにしても解析でやっているのと同じ話だと思うんですけれども。現にこのどういう解析やったとしてもですよ、オペフロの広い所のですね、真ん中に図でも写真でも丸いものがあってこれがシールドプラグで福島事故の時にはやっぱりそのシールドプラグから大量に放射性物質と水素があがってきたということが予想、想定されているわけだけれども、こんな広いところで真ん中で水素が上がってくるところにですね、こんな端の方に、壁にへばりつく形でPARを並べてですね、これで、こう水素がね、解析上はちゃんと除去されるというふうに言われても、ちょっとそんな解析本当に大丈夫かっていうのがやっぱり普通の感覚だと思うんですね。多分先程と似たような答えだとは思うんですけれども、ただこれ、見た上でね、やっぱり本当にこれ大丈夫かよって思わないですか、ということも含めてもうちょっとご解説をお願いします。
規制庁佐藤裕史(1:20:23):あの、すいません。手短に答えると先程の回答なんですけど、ちょっと、なんかすいません。あまり話がちょっと今まで行き違ってたかなって思うんですけど、今の事故分析のその結果を踏まえれば我々もこの今まで出してきた許可でやっている解析がもしかしたら間違ってるかもっていう可能性を消してるわけじゃないです。あくまで今まではこれまでの知見なり基準に則った審査をやってきてそれへの適合性で許可出してますけども事故分析の結果やっぱりこんなPARの配置じゃダメだっていう知見が得られれば、要はゴシックの解析がやっぱり不確実性が高くてこういうところは扱えてないみたいな知見が当然出てくれば、まぁじゃちょっと解析やり直してくれと、審査もやり直すからっていうことになるんで、そこは多分認識としては同じ認識でいるとは思うんで、そういう状況です。
伊東(1:21:11):わかりました。先程の一番最初の解説で結局適合性審査でこうやりましたというレベルではこれでOKしたわけだけれども、今は検討した結果として違う問題意識もあり、わりと同じような考えだということを示していただけましたのでそれを見直すことも含めて検討中でありということですのでそれは頑張っていただけるということで期待しておきたいと思います。私の質問終わり。
※今回、水素除去装置(PAR)を原子炉建屋最上階(オペフロ)の壁際にしか置かないという東電等の水素爆発防止対策のあまりの不合理性を追及する中で、原子力規制庁の担当者も「今の事故分析のその結果を踏まえれば我々もこの今まで出してきた許可でやっている解析がもしかしたら間違ってるかもっていう可能性を消してるわけじゃない」といわざるを得なかったことは、1つの収穫です。原子力規制庁が、今後の規制をどうするか、監視の目を強めましょう。
これまでのもっかい事故調オープンセミナーは、こちらから視聴できます→もっかい事故調チャンネル
第3回と第4回は水素爆発対策関係です。
(2022.3.25記)
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