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たぶん週1エッセイ◆
映画「ムーンライト」
ここがポイント
 主人公が生育環境の縛りから抜け出せず唯一の友人だったケヴィンへの思いを持ち続ける姿が切ない
 言葉少ないシャロンの目の表情が印象的
 黒人少年/青年の友人男性への恋心を描いたアカデミー賞作品賞受賞作「ムーンライト」を見てきました。
 封切3日目日曜日、TOHOシネマズシャンテスクリーン1(224席)午前9時45分の上映は8割くらいの入り。

 麻薬の売人の黒人フアン(マハーシャラ・アリ)は、いじめっ子に追われてフアンが麻薬を隠していた廃墟に逃げ込んだ黒人少年を連れて恋人テレサ(ジャネール・モネイ)のもとに帰る。少年は黙り込んでいたが、食事をさせて話を聞くうち、シャロンと名乗った。フアンは翌朝、シャロンを自宅に送るが、シャロンの母(ナオミ・ハリス)は、後日、フアンから麻薬を買っている客とわかる。フアンはシャロンを気にかけて何かとかまうようになり、海で泳ぎを教えたり、自分の道は自分で決めろ、周りに決めさせるなと諭すなどしていた。シャロンの母が客を取りその間家にいないように言われてシャロンは行き場がなくなり、学校でも心を許せるのは親友のケヴィンしかいなかったが、フアンが亡くなり…というお話。

 母子家庭に育ちその母ともしっくりいかず、学校でもいじめられて、居場所がない少年が、目をかけてくれた大人に影響されながら育っていく様子、唯一の友人に友情を超えた恋心を抱いていく様子を、少年期の「 Little (チビ)」、青年期の「 Chiron (シャロン)」、成人後の「 Black (ブラック)」の3部構成で描いています。家庭環境/生育環境から抜け出せず、ケヴィンのほかには友人もできず、内気で自分からなかなか話さないシャロンの、目に見えた成長/状況の好転が描かれない/観客が見られないもどかしさ、切なさ、ケヴィンに寄せる思いと高校時代の事件をめぐる複雑な思いというあたりを味わう作品です。言葉少ないシャロンの目の表情が印象的です。
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(2017.4.2記)

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