たぶん週1エッセイ◆
映画「南極料理人」

 ペンギンもアザラシも、ウィルスさえいない−54℃のドームふじ基地での越冬隊員たちの悲喜こもごもの生活を描いたコメディ映画「南極料理人」を見てきました。
 全国で新宿テアトル1館だけの上映(8月22日から拡大上映)+お盆休みで、封切り1週目は平日も連日満席。

 念願の南極行きを決めて大喜びだったスズキ先輩(宇梶剛士)が交通事故でリタイアし、突如家族と話し合う余裕もなく南極行きの指名を受けた海上保安庁の調理人西村淳(堺雅人)をメインに、「僕の体はラーメンでできている」という隊長(きたろう)、単身赴任で夫婦の危機が訪れる本さん(生瀬勝久)、日本への電話に切ない気持ちをぶつける兄やん(高良健吾)らの食事、娯楽(中国文化研究=麻雀、野球)、体操、造水(氷の切り出し)、観測等の日常生活と年中行事(節分、冬至)や人間関係の機微を描いています。

 コメディにしては、全体にテンポが遅め、カットが長めで、じんわりとした笑いを誘うタイプだと思います。大声で笑っている観客もいましたが、館内爆笑という感じではありません。
 地球儀を見ながら、こんな隅っこの方の白いところにお父さんが行っちゃったら友花ちゃん寂しくない?って聞いたら「全然」って答えられたり、「お父さんがいなくなってから毎日楽しい」ってFAXが来たり、西村の8歳の娘友花(小野花梨)の態度は、娘を持つ父としては、かなり切ない。

 節分の日の鬼を裸のまま外に閉め出したり、氷上にかき氷のシロップでラインを引いて野球をした後全員上半身裸で記念撮影したり、彼女に振られた兄やんが夜に顔を出したまま長時間座り込んでいたり、−54℃の世界でそんなことしたら死ぬんじゃないかと思うシーンが多数。よい子は絶対にマネしないように・・・って、マネしたくてもできないか。
 彼女に振られた兄やんから、いきなり口説かれる「KDDインマルサットオペレーターの清水」さん(小出早織)。最後に顔出ししてるのが微笑ましい。でもなぜ今の映画で「KDD」なの(KDDIじゃなくて)? 

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