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たぶん週1エッセイ◆
新年を迎えて 2018年

 2017年は、概ね平穏に本業の労働事件を中心とした裁判等の弁護士業務に明け暮れていたのですが、終盤で2つ非日常のできごとがあり、そちらに時間を取られることになりました。

 1つは、第二東京弁護士会労働問題検討委員会編の「労働事件ハンドブック」の3年ぶりの全面改定作業です。前々回、前回に続き、最終責任者として原稿をチェックし、手を入れています。労働者側・使用者側それぞれの弁護士が執筆した原稿に私が労働者側で使えそうな裁判例その他の情報をガンガン書き込むので、結果的には使用者側の弁護士が担当している章でさえ日本労働弁護団が書いたものよりも労働者側弁護士に使える本になっていたりします。そういう作業を、今回は、これまでは対象にしなかった分野にも広げて原稿の分量が倍くらいになり、思い起こせば前回(2015年)でももう限界と思っていたのに、相変わらずやる以上は手を抜けない性分のため、10月後半以降、その作業に没頭し、疲弊しています。
 主にそういう事情から、10月中旬以降、サイトの更新をしていませんでした。相当数の方にご心配をかけたようですが、健康を害したとかいうことではありません。その間も本は読んでいるし、映画も見ているのですが、記事を書く時間がとれず、書いていません。読書日記と映画評を書かないことにすると、スケジュールが楽になり、いったんそういう日々を送るとなかなか再開の気力が・・・この後どうするかは考え中です。

 もう1つは、年末にサイトに記事を書き、リアル年賀状も今回はそれで埋め尽くしてしまいましたが、クリスマスの日に東京電力が、福島原発事故の非常用電源喪失(福島原発事故が炉心溶融という大事故に至ったのはこの電源喪失のためです)の原因がすべて津波によるものという新たな報告書を出してきました。この問題については、国会事故調が少なくとも1号機については津波の到達前に電源喪失に至っていると問題提起し、私が雑誌「科学」やこのサイトの記事で、その点を論じ続けてきたものです。福島原発事故の原因解明をこれ以上進めたくない、これ以上福島原発事故の原因解明をしなくても再稼働を認めたい電力会社と原子力規制委員会は早々にこの問題を否定し、終わったものと扱っていますが、福島原発事故の徹底解明を標榜する新潟県技術委員会では今なおこの問題を議論しています。その中で、東京電力が4年ぶりに新たな主張をしてきたのですが、このサイトの記事(「福島原発全交流電源喪失は津波が原因か(その6)」)で書いたようにまったく無意味なものです。
 柏崎刈羽原発差し止め訴訟でも、東電が柏崎刈羽原発6号炉・7号炉の再稼働のために、免震重要棟の耐震偽装が発覚して緊急時対策所を5号炉原子炉建屋内だけで行けるとしている(もちろん、原子力規制委員会はそれを追認)ことについて、福島原発事故では運転していなかった4号機でも水素爆発が発生し、東電の柏崎刈羽5号炉緊急時対策所は福島原発4号機の爆発で吹き飛んだ場所に対応すると指摘したら(第19回口頭弁論)、柏崎刈羽5号炉と6・7号炉は(福島原発の3号機と4号機のように)「排気筒を共用しておらず、非常用ガス処理系配管も接合されていない」とすぐに反論してきて、それに対してこちらが東電がそういう言い方をするときは別の配管でつながっていることを意味していると指摘した(第20回口頭弁論)のに対してまたすぐ次の期日でオウムのように柏崎刈羽5号炉と6・7号炉は「排気筒を共用しておらず、非常用ガス処理系配管も接合されていない」と繰り返して、裁判の口頭弁論で直ちに住民側から、ここまで言われても東電が「排気筒を共用しておらず非常用ガス処理系配管も接合されていない」としか言えない、配管がつながっている部分はないと主張できないことから、5号炉と6号炉・7号炉が何らかの配管でつながっていて、6号炉・7号炉で大事故が起これば5号炉で水素爆発が生じる可能性があることは否定できないと言われています(第21回口頭弁論)。
 率直に言って、私だったら、これしか言えないのなら積極的に主張はしません(準備書面や報告書は自分から出したりしません)。東電は、客観的にはまったく無意味であっても、主張を繰り返していれば、原発再稼働を認めたい(再稼働を止めたくない)人(原子力規制委員会等。東電は裁判所もそうだと考えているのでしょう)は東電に有利に評価してくれると思っているのでしょうね。

 今年こそは、本業の労働事件やふつうの民事裁判の業務に専念したいと考えているのですが・・・

 今年もよろしく

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(2018.1.1記)

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