たぶん週1エッセイ◆
映画「地球にやさしい生活」

 ニューヨークのライターが実践したゴミ排出ゼロの電気を使用しないエコライフのドキュメンタリー映画「地球にやさしい生活」を見てきました。
 封切り3週目日曜日、現時点でたぶん全国唯一の上映館の新宿武蔵野館の午前10時からの上映は、トークイベントとクッキーのお土産付きで5割くらいの入り。

 ニューヨークの五番街に住むライターのコリン・ビーヴァンが地球環境に負荷をかけない生活の計画( No impact project )を実践すると宣言し、ゴミ排出ゼロ(食物の包装は拒否、近隣の青空市場で購入し、残飯はミミズコンポストで堆肥化)、輸送による二酸化炭素の排出を減らすために自らは自動車はもちろん、航空機、地下鉄にも原則として乗らないのみならず、食べ物も原則として400km以内で生産された物のみにし(地産地消)、食品以外の新たな購入はせず、消耗品の使用も最小限にとどめトイレットペーパーも使用しない、6か月後からは電気も使用せずローソク暮らし(途中からソーラーパネルでパソコンは使えるようにする)といった徹底的なエコライフを、「ビジネス・ウィーク」記者の妻ミシェルと幼い娘を巻き込んで1年継続し、エコライフの伝道者、エコロジカルテロリストなどと言われながらテレビ出演や妻との駆け引き・摩擦・共感、友人たちとの交友を続けていくというお話。

 極端なエコライフの提唱と実践が、あそこまでやらなければならないと思うと普通人にはついて行けなくなりかえって環境保護派の主張に非現実性、嫌悪感を感じさせるというリスクを持ちつつ、ニューヨークの真ん中で全くの素人がやろうと思えばやれてしまうことを見せ、それぞれがやれる範囲でやればいいというメッセージが繰り返されることで、生活の見直しのきっかけにはなるかなという感じの作品になっています。
 必ずしも完全な実践ではなく、電気については途中でソーラーパネルを導入したり、冷蔵庫についてはポット・イン・ポットタイプの陶器(素焼きのワインクーラーのような原理)を試して失敗し、クーラーボックスに下の階の友人からもらった氷を入れてミシェルから他人に電気を使わせてそれに依存することを皮肉られ、ミミズコンポストは夏になるとハエの生産機と化し、といった失敗と試行錯誤が紹介されていることも、実践のリアリティを感じさせます。
 買い物中毒でテイクアウト中毒、カフェイン中毒の妻ミシェルが、当惑し、時に反発しながら、1年間の実験に協力を続け、青空市場を通じての生産者との交流や友人との交流が増えたことなどを評価し、実験が終わった後もテレビはもう見ないとか青空市場での買い物は続けたいなどと語っている姿は、全部は無理でも一部ならできそうという印象を与えます。
 コリンに意見している知人が、個人の努力よりも、現在の大量消費社会を維持しているのは会社資本主義でおまえさんの妻はビジネス誌で会社資本主義を広めてるんだろと言うシーンがあります。そんなことを言っても、とも思いますが、コリンがそれを軽く受け流すところも、コリンが原理主義者ではなく、やれることだけやればいいという立場であることを示しているように思えました。

 翻って自分の生活を考えると、いろいろ目に付くところはありますが・・・コメントは控えておきます。

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