たぶん週1エッセイ◆
映画「17歳のエンディングノート」
ここがポイント
 恋をすることで、やりたいことリストが前向きなものになっていくところ、すがすがしく思えます
 愛を知ることで、命は「ながくもがな」と実感でき、灯は強くなるものかと

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 白血病で余命幾ばくもない17歳の少女の揺れる思いと恋を描いた映画「17歳のエンディングノート」を見てきました。
 封切り2週目月曜日・GW最終日、全国8館・東京では唯一の上映館の新宿武蔵野館スクリーン2(84席)午前11時40分の上映は6〜7割の入り。

 4年前に白血病とわかり、17歳になり余命幾ばくもないとわかったテッサ(ダコタ・ファニング)は、親友のゾーイ(カヤ・スコデラリオ)と死ぬまでの残り9か月でやりたいことリストを作り、セックスやドラッグ、法律を破ることなどを挙げてトライしていった。仕事を辞めてテッサの闘病に寄り添う父親(パディ・コンシダイン)はテッサの逸脱に怒り反対しながら、葛藤し、幼い弟は「テッサが死んだら旅行するの?」などと無神経に口走り、離婚して別居している母親(オリヴィア・ウィリアムズ)は現実を直視したがらない。ゾーイは不誠実なボーイフレンドの子を孕みいっぱいいっぱいになる。そうした中、隣に引っ越してきた夫を亡くしたばかりの母に寄り添うために大学を休学中の青年アダム(ジェレミー・アーヴァイン)と知り合ったテッサは…というお話。

 17歳の娘が余命幾ばくもない白血病という、高校生の娘を持つ私には見るまでもなく泣けてくる設定ですから、当然に泣いてきました。
 やりたいことリストには、ハワイでサーフィンとかインドで象に乗るとかもありましたから、前半でもっとキャーキャー騒ぐのかと思いましたが、やりたいことへのトライは少し地味目で現実的でした。後半は白血病の悪化で悲惨な展開になるかと思いましたが、これも比較的あっさりした感じ。わりときれいに進んで、テッサの心の動き、家族や恋人の気持ち・思いに重点が置かれたハートウォーミングなラブストーリーと見るべきでしょう。
 一貫してテッサがもうじき死ぬことを前提に話す弟だけでなく、テッサが可愛くて仕方がない父親もまた写真を焼いたり破いたりするテッサに何も残さないつもりかとテッサの死後に思いを馳せる発言をしたり、端から見ているとそういう言い方はなぁと思う発言が目につきます。現実にはどんなに気をつけても限界はあるのだと思いますが。
 死なないでくれと泣きながらすがる父親と、どうすればいいのかわからず途方に暮れる恋人に、黙って寄り添う17歳の娘という構図を見ていると、けなげで泣けてくるとともに、そういうものかもとも思えてきます。

 恋をすることで、やりたいことリストが前向きなものになっていくところ、すがすがしく思えます。愛を知ることで、命は「ながくもがな」と実感でき、灯は強くなるものかと。まぁ、現実はそう甘くはないよということでもありますけど。
(2013.5.6記)

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