たぶん週1エッセイ◆
映画「オブリビオン」
ここがポイント
 大仕掛けな話のわりにはあっけない感じはあるが、SFとしての仕立ては悪くない
 ジャックはヴィクトリアと2人組で派遣され仲むつまじく暮らしているのに「たった1人」という紹介はなぜ?

Tweet 

 エイリアンの侵略・核戦争後の地球に残る1組の男女という設定のトム・クルーズ最新作SF映画「オブリビオン」を見てきました。
 封切り2週目土曜日、新宿ミラノ1(1064席)午前11時の上映は1割くらいの入り。

 2077年の地球は、エイリアンの侵略により月を破壊され、大津波と核戦争のために荒廃し、放射能汚染で地表の多くが居住不能となっていた。ジャック・ハーパー(トム・クルーズ)とヴィクトリア(アンドレア・ライズブロー)は、宇宙ステーション「テット」から地球に派遣され、地上高く作られた快適な「スカイタワー」を基地として、監視兵器「ドローン」とともに、海からの採水でエネルギーを得るプラントや燃料電池を、地球に残る「スカヴ」の襲撃から守る任務に就いていた。ある日、謎の宇宙船が墜落し、興味を持ったジャックは、テットの帰還指令を無視して駆けつけた。墜落現場には地球人宇宙飛行士が入った冬眠装置が散乱していたが、ジャック以外の生命体を認識すると攻撃するようプログラムされているドローンは宇宙飛行士たちを殲滅し、ジャックはようやくその1人ジュリア(オルガ・キュリレンコ)を助ける。任務のため記憶を消されていたジャックは、ジュリアが何度も夢に現れた女性とそっくりであることに驚くが、その直後スカヴに倒され…というお話。

 基本線は近未来SFなのですが、謎解きミステリーが組み合わされていて、これに触れずに感想を書くことがかなり難しい作品です。
 特にミステリーだと謳っているわけではないのですが、冒頭から放射能汚染で人類が住めなくなった地球でミッションに出るときにマスクもしないでいいのかとか、2017年のスーパーボウルの記憶があるとかエンパイア・ステートビルが世界一高い場所ってジャックは一体何歳だとか、気になる疑問が出て来ます。後から、もっと大きな謎が登場し、そういったことも含めて、一応ストーリーとしてはそれなりにきちんと説明されることになります。
 ニューヨーク・ヤンキースファンの(ヤンキーズのキャップをかぶり続けている)ジャックが、ヴィクトリアに2017年の話をするのに、なぜスーパーボウルの人類最後の試合の話題で、ヤンキースや(野球の)ワールドシリーズじゃないのかは、結局最後まで解き明かされませんでしたが。

 エイリアンの侵略とか核戦争という大仕掛けな話のわりにはあっけない感じはありますが、SFとしての仕立ては悪くないと思いますし、ヒューマンドラマとしてもそこそこのできで、エンターテインメントとしてはいい線ではないかと思います。
 タイトルの意味は忘却。ハリー・ポッターシリーズで登場する忘却呪文もオブリビエイト ( Obliviate ) でしたし。ジャックが記憶を消されていたことと、地球に取り残された忘れられた存在を意味していると思います。

 公式サイトのイントロダクションの「たった1人残された男、ジャック。なぜ誰もいない地球を守るために闘うのか」って、ミスリーディングというか、ちょっと酷い。ジャックはヴィクトリアと2人組で派遣されているわけで、(業務上派遣されている間柄で、いいのかとも思いますが)ヴィクトリアとHもしてるし仲むつまじく暮らしているのですから、「1人」ってイメージではありません。そういったら、「男は1人」とか屁理屈こねるんでしょうか。「トム・クルーズ主演」が売りの映画だからトム・クルーズにしか目が行かないのかもしれませんが…
 ジャックを捕まえたスカヴの親玉ビーチ(モーガン・フリーマン)が最初に話すときにマッチを擦って話し出すシーン、「100,000年後の安全」を思い起こしてしまいました。
(2013.6.8記)

**_**区切り線**_**

 たぶん週1エッセイに戻るたぶん週1エッセイへ

トップページに戻るトップページへ  サイトマップサイトマップへ