◆たぶん週1エッセイ◆
映画「踊る大捜査線 THE FINAL」
邦画実写映画興行成績歴代1位の「踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」を擁する人気テレビドラマシリーズ「踊る大捜査線」の最終編と銘打った「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」を見てきました
封切り2週目土曜日、新宿ピカデリースクリーン1(580席)午後6時40分の上映はほぼ満席。「THE MOVIE3」は「THE MOVIE2」の半分以下の興行成績でしたが、FINAL効果で浮上しますか。
真下新署長(ユースケ・サンタマリア)の下経費節減のため慣れない部署の応援に追われる青島(織田裕二)らは、湾岸署管内で発生した6年前の少女誘拐殺人事件で無罪となった被疑者とその共犯者と目される人物が立て続けに射殺された事件の捜査で情報を与えられないまま、全ての情報を鳥飼管理官(小栗旬)に文書報告するよう命じられる。警察庁幹部らは、この事件で使用された拳銃が警察が押収した拳銃であり、警察官の犯行と見られるため、事件のもみ消しを図り、現場に情報を与えないことにした。青島は、情報がないまま鳥飼の指示に従い被疑者を「任意同行」したが、その人物が事件当日すみれ(深津絵里)が取り調べており完全なアリバイがあることに気付き、鳥飼にその釈放を求めるが、鳥飼は無視してその被疑者を送検し、事件は解決したとして捜査本部を解散した。しかし、その後、真下の子どもが誘拐される事件が発生し、警察庁幹部らは、同一人物の犯行で、世間に発覚することは必至と考えて、青島に不当逮捕、室井(柳葉敏郎)に警察官による事件発生の責任をとらせようとするが・・・というお話。
踊る大捜査線はやっぱりすみれでもっているのか、大ヒットのTHE MOVIE2の夢よもう一度なのか、出番は多くはないのですが、すみれが印象的な映画でした。最初の、所帯を持って夫婦で揚げ物屋を営む姿はサービス映像としても、THE MOVIE2で撃たれた古傷が悪化して退職をいうシーンを長々とやってファンにTHE MOVIE2を思い出させた上で、重要な場面で決定的な役割。すみれさん、すごいって。
THE MOVIE3に続いて上映時間のかなり多くの時間登場し続ける小栗旬。前作同様、小生意気なエリート官僚のいやらしさを見せつけてくれ、今回は、ストーリーの中心部分で活躍するのですが、最後に、結局そのいやらしさがエリート官僚のものというより鳥飼の個人的な動機と属性によるものと矮小化されてしまいます。官僚の醜さは警察庁幹部の連中で十分に描かれているともいえますが、若手エリート官僚の思い上がった別のいやらしさと見える部分がせっかく俎上に乗り得たのに問題から消されてしまい、残念な気がします。鳥飼の動機という点からも、そういうことなら警察官僚を続けるかなという疑問を感じ、私にはしっくりきませんでした。私には、THE MOVIE3もTHE FINALも小栗旬を重要な役にキャスティングしてというか、鳥飼誠一という中途半端なキャラに多くの時間を費やしたことが失敗だったと思えます。
映画の内容上は、全然、「THE FINAL」じゃなくて、続編があっても何の不思議もない展開。「海猿」みたいに「THE LAST MESSAGE」のと題した作品が売れたら、平気で続編が作られるのかも。
予告編で、さんざん流された銃声とともに青島が倒れる映像。本編でこのシーンに来て唖然としました。予告編では、さまざまなカットが本来の順番もシチュエーションも関係なく切り貼りされて全然別の印象を与えるつくりをすることが多いですが、それでもいくら何でもこれはひどいんじゃないか。
公式サイトの手抜き・不親切ぶりも半端じゃありません。毎度私が文句を言っているソニーピクチャーズの映画の公式サイトとどっこいどっこいの無内容さ。人物相関図もなくキャスト紹介も役者の名前が並ぶだけで役名の記載もなし、そしてバーニングプロ独立後干されている水野美紀は真下の妻役で出演しているのに名前の記載もなし。
いろいろな意味で制作サイドの姿勢に疑問を感じました。
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