◆たぶん週1エッセイ◆
映画「オズ はじまりの戦い」
「オズの魔法使い」のディズニー版エピソードゼロ、映画「オズ はじまりの戦い」を見てきました。
封切り2週目土曜日、新宿ミラノ1(1064席)午前11時45分の上映は1〜2割の入り。
美女を見ると貴族の血を引く祖母の形見と称するオルゴールをプレゼントして口説くプレイボーイのペテン師マジシャンのオズ(ジェームズ・フランコ)が、サーカス団の怒れる怪力男に追われて熱気球で逃げたところ、竜巻に巻き込まれ、辿り着いた美しい国は「オズの国」と呼ばれ、同じ名前の魔法使いが空から降り立ち王となるという伝説があった。そこで美しく純真な西の魔女セオドラ(ミラ・クニス)に出会ったオズは、さっそく件のオルゴールをプレゼントしてセオドラを口説き、夢中になったセオドラにエメラルド・シティに案内される。エメラルド・シティでセオドラの姉エヴァノラ(レイチェル・ワイズ)に宮廷の財宝を見せられ、王となるには悪い魔女を倒さねばならないと告げられたオズは、エメラルド・シティに向かう途中で助けた翼のある猿フィンリーをお伴にし、途中で助けた陶器の少女とともに、魔女の森に向かう。エヴァノラに指示されたとおりに魔女の杖を奪うことに成功したオズは、そこで南の魔女グリンダ(ミシェル・ウィリアムズ)の美貌に思い直し、グリンダからエヴァノラがグリンダの父王を殺害しエメラルド・シティを乗っ取り、人々を苦しめていると聞かされる。オズがグリンダに言い寄る姿を水晶玉で見ていたエヴァノラは、オズの裏切りを知って怒りに震えるセオドラに魔法をかけ・・・というお話。
軽薄で移り気なペテン師オズが、人々の希望や願いの重圧から、逃げだそうとしつつ逃げられなくなり責任感を感じていく成長ストーリーと、人間的(いや魔女的か)には1枚も2枚も上手のエヴァノラ・グリンダの「お姉様」的魅力と、オズの国の風景や植物・動物の映像・色彩の美しさで見せる作品です。視覚的には、現実世界でのモノクロ映像からオズの国でのカラー映像への切り替えの効果もあり、最初の方でのオズの国の風景の彩りは息を呑むほどです。
「オズの魔法使い」では翼のある猿たちは、大昔の(オズが来る前の)北の魔女が作った金の帽子の持ち主に仕え、ドロシーがやってきたときには金の帽子は西の魔女が持っているという設定ですが、この映画では、金の帽子は登場しないまま東の魔女エヴァノラに仕えています。マンチキンは、「オズの魔法使い」では東の魔女の支配下にあるのですが、この映画では南の魔女グリンダの下で幸せに暮らしています。東の魔女は、「オズの魔法使い」ではどこへでも一瞬で移動できる銀の靴を履いていますが、エヴァノラはどこへでも一瞬で移動できる様子はなく、「オズの魔法使い」でドロシーを魔女のキスで守ってくれる北の魔女はそんな者がいることさえ紹介されていません。このお話で、「オズの魔法使い」につなげられるのか、そのあたりはあんまり気を遣ってないなぁと感じます。
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