◆たぶん週1エッセイ◆
映画「PAN ネバーランド、夢のはじまり」
孤児院でしたたかに育った少年が、見知らぬ国で冒険をして、大人に揉まれながら成長するというテーマ
大人の観客には、フックとタイガー・リリーのいがみ合いながらのラブ・ストーリーの方が興味が持てそう
ピーターパンの前日譚(エピソ−ドゼロ)映画「PAN ネバーランド、夢のはじまり」を見てきました。
封切り2日目日曜日映画サービスデイ、丸の内ピカデリーシアター1(802席)午前10時の上映は1割くらいの入り。いや、まぁ、私も見たかったわけじゃなくて、「アクトレス」が午前9時台の上映なのにまさかの満席だったので転進したんですが…しかし、原作の知名度とヒュー・ジャックマン出演で、この閑散ぶりはすごい。
ロンドンのランベス孤児院の前に捨てられたピーター(リーバイ・ミラー)は、12歳になり、親友のニブス(ルイス・マクドゥーガル)とともに、ドイツ軍の空爆下のロンドンで配給物資をちょろまかして私腹を肥やす修道女バーナバスの意地悪に対抗してたくましく生きていたが、ある夜、空から襲ってきた海賊船に多数の孤児たちとともに連れ去られる。空飛ぶ海賊船が向かった先は空に浮かぶ島「ネバーランド」。海賊の親玉黒ひげ(ヒュー・ジャックマン)の命令の下、鉱山で掘り尽くされつつある妖精の粉「ピクサム」の採掘に明け暮れる鉱山労働者の1人フック(ギャレット・ヘドランド)は、ピーターに斧の使い方を教え、ピーターと心を通わせる。ピーターが掘り当てたピクサムを他の鉱夫が横取りしてもめごとになったのを見た黒ひげは、鉱夫たちにピーターの処遇を問い、ピーターを絶壁上の板から蹴り落とすが、落下したピーターは地上近くで浮き上がり、生き延びた。先住民の言い伝えで、空飛ぶ少年が妖精を率いて黒ひげを倒すと言われていたことから、黒ひげはピーターを自室に呼び出し…というお話。
孤児院で悪辣な修道女と闘いながら、したたかにたくましく育った少年が、見知らぬ国で冒険をして、大人に揉まれながら成長するというストーリーが軸になりますが、脇役のフックとタイガー・リリー(ルーニー・マーラ)の対立・さや当てから思いを寄せるようになるラブ・ストーリーの方が、大人の観客には興味を持ちやすいように思えました。黒ひげと、お調子者のスミー(アディール・アクタル)のコミカルさと併せて。
あと、ピーターが母を捜し求める姿と、孤児院、フックの言う帰る家と、家、居所がキーワードになっている感じがしました。
映像的には、孤児院のシーン等のモノトーンから、ネバーランドの先住民と妖精の世界のカラフルさへの対比が印象的です。
基本的にお子様向きですので、深みや含みはあまり感じられません。シンプルな作品として見ておきましょう。
(2015.11.1記)
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