◆たぶん週1エッセイ◆
映画「パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間」
公式サイトでは「驚きの真実が、今明かされる」とされているが、どのような新事実が明らかにされたのかよくわからなかった
被疑者の兄ロバート・オズワルドの落ち着いた対応が印象的
ケネディ暗殺事件にかかわった人々の様子を描いた映画「パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間」を見てきました。
封切り3週目日曜日、新宿武蔵野館2(84席)午前11時40分の上映は6割くらいの入り。観客の多数派は中高年層。
1963年11月22日金曜日、テキサス州ダラスのパークランド病院では外科医ジム・キャリコ(ザック・エフロン)が独り患者の対応に追われていた。妻と共にケネディ大統領のパレードの見物に来ていたアマチュア・カメラマンエイブラハム・サプルーダー(ポール・ジアマッティ)は8ミリカメラでパレードを撮影していてケネディ大統領が射殺された場面を撮影する。ケネディ大統領はパークランド病院に搬送され、キャリコと、駆けつけた医師らが救命の措置をとるが、ほどなく死亡が確認された。シークレットサービスはジョンソン副大統領のまわりを固め、パークランド病院へ、そしてエアフォースワンへと押し込み、大統領の遺体とじゃクリーン夫人の到着を待ってワシントンへ向かい、ジョンソンは機内で大統領就任式を行う。暗殺現場付近で警察官を殺害した容疑で逮捕されたリー・オズワルド(ジェレミー・ストロング)を警察はケネディ大統領暗殺犯と発表した。その報道を聞いて兄ロバート・オズワルド(ジェームズ・バッジ・デール)が警察を訪れると、すでに母(ジャッキー・ウィーバー)が事情聴取を受けており、母はリーは国の諜報機関の指示で動いていると主張していた。ロバートがリーと面会すると、リーは証拠というものを信じてはいけないと話した。その後リー・オズワルドは警察署内で銃撃され、パークランド病院に運び込まれ、キャリコ医師らが救命措置をとったが及ばなかった。オズワルドの逮捕を聞き、リー・オズワルドが3年前からマークしていた人物で、2週間前に担当官に妨害をやめないと殺すぞという脅迫文書を持参していたことを知ったFBIは、担当官にリー・オズワルドのファイルを廃棄するように命じ、担当官はファイルを焼却した…というお話。
公式サイトのトップページには、「担当医、カメラ愛好家、シークレットサービス、FBI、そして容疑者の家族。あの時、本当は何が起こっていたのか?事件にかかわったものだけが知る驚きの真実が、今明かされる。」とされているのですが、この映画でどのような新事実が明らかにされているのか、今ひとつわかりませんでした。
タイトルからすれば、パークランド病院のキャリコ医師のエピソードに重点が置かれそうですが、突然瀕死の(というよりは搬入時点では実際のところ死んでいたのでしょうけど)大統領の救命を任された若き医師の緊張感は表現されていたものの、ケネディの際もオズワルドの際も医師として努力はしたけど及ばなかったというだけで、それ以上のエピソードはありません。パークランド病院関係で新事実は、ケネディ大統領の血液型がO型Rh+とされたとかでしょうか。
サプルーダー関係では、8ミリフィルムの現像に手間取ったとかマスコミに追われて大変だったとかが描かれていますが、最後に紹介されているショックでその後カメラを手に取らなかったということくらいでしょうか。
シークレットサービス関係では、ジョンソンの頭を押さえて病院やエアフォースワンに押し込んだとか、棺が入らないのでエアフォースワンのシートを外したり仕切り板を切除したとかあたりが新事実なのでしょうか。
FBI関係では、(CIAだけでなく)FBIもマークしていたがファイルを焼却したというのが新事実なのかなというところ。
オズワルドの家族関係では、面会でのやりとりとか、リー・オズワルドの葬儀・埋葬をあちこちで断られたとか、ロバート・オズワルドがその後も名前を変えずテキサスに住み続けたというあたりでしょうか。
サプルーダーのフィルム争奪に殺到するマスコミと、葬儀への協力を断られ肉親だけで埋葬を行うロバート・オズワルドらを取り囲んで写真を撮り続けるマスコミの姿、それと対比して事態の急変に落ち着いて淡々と対応を続けるロバート・オズワルドの態度が印象的でした。
リー・オズワルドの幼い娘は靴を買ってもらえたのでしょうか。フォローされていない妻子の行く末が少し気になりました。
(2014.7.13記)
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