庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

たぶん週1エッセイ◆
映画「パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊」
ここがポイント
 ジョニー・デップは狂言回しのようなもので、ヘンリーとウィル、カリーナと父の父子関係がメインに思える
 「最後の海賊」「最後の冒険が、ついに始まる」という宣伝は恥知らずだと思う
 ディズニーランドのアトラクション「カリブの海賊」からひねり出した映画の第5弾「パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊」を見てきました。
 封切り3週目日曜日、新宿ピカデリースクリーン2(301席)午後1時25分の上映は、ほぼ満席。

 沈没船「フライング・ダッチマン」号に閉じ込められた父ウィル・ターナー(オーランド・ブルーム)を救うために必要な「ポセイドンの槍」を探し求めるウィルの息子ヘンリー・ターナー(ブレントン・スウェイツ)は、イギリス軍の船員となりジャック・スパロウを探していたが、船が「魔の三角水域」に入り込み、呪われた亡霊海賊サラザール(ハビエル・バルデム)に襲われ、呪いを解くためにジャック・スパロウのコンパスを求めていることを知らされ、ジャック・スパロウを探すように言われる。顔も知らぬ父から受け継いだガリレオ・ガリレイの日記の謎を解こうとしている孤児の天文学者カリーナ・スミス(カヤ・スコデラリオ)は、その知識故に「魔女」と疑われ、追われていた。島で新たな銀行のお披露目の日、金庫の中から泥酔状態で現れたジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)は、仲間の海賊たちに馬で金庫を引かせて銀行強盗を企て・・・というお話。

 ヘンリーと父親のウィル、カリーナとその父の、2組の父子の絆、愛情を軸にしたアドベンチャー作品です。
 ジコチュウで無責任なジョニー・デップ(ジャック・スパロウ)が狂言回しを務めていますが、ジャック・スパロウとサラザールとイギリス海軍が対立する世界という舞台を作っているもので、この作品の主役はヘンリーとカリーナとみるべきだろうと思います。
 それでも、ジョニー・デップの無責任でおちゃらけた対応がおもしろい、ギャグだと感じられるか、うっとうしいだけで笑いのツボも外してると感じるかで、作品への評価は大きく変わるだろうと思いますが。

 公式サイトのトップページにある「これまで決して明かされることのなかったジャック・スパロウ誕生の瞬間―― 『パイレーツ・オブ・カリビアン』最大にして最高の謎が、ついにベールを脱ぐ!」という宣伝文句。シリーズのファン、ディズニーに忠実なファンには、そうなのかなぁとは思いますが、いや、これが、シリーズ「最大にして最高の謎」?
 あらゆる宣伝文句が、誇大で、言葉の重みというのが感じられない、という印象を持ちます。

 サブタイトルの「最後の海賊」。予告編では「最後の冒険が、ついに始まる」、公式サイトのイントロダクションでも「すべての謎が明かされる<最後の冒険>が、ついに幕を開ける!」とされています。原題は“ Pirates of the Caribbean: Dead Men Tell No Tales ” で、サブタイトルは「死人に口なし」。「最後」という言葉はどこにもありません。エンドロールのラストにほのめかし映像があり、続編制作が示唆されています。こういう状態で、いかにもこれが最終作みたいな宣伝をする日本の興業サイドのやり方には強い疑問を感じます。
 もともとシリーズ化を予定していなかったけど、第1作(2003年)が大ヒットしたので、3部作と言い出し、第3作(2007年)が終わった後から、未練がましく第4作(2011年)を作りさらにこの第5作(2017年)に至った経緯からして、稼げる限り前言など気にせずに翻すことは観客もわかっているはずということかもしれませんが、私には詐欺的で恥知らずな姿勢に思えます。
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(2017.7.16記)

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