庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

たぶん週1エッセイ◆
映画「プロミスト・ランド」
ここがポイント
 大企業の悪辣さと、それを知った企業戦士の決意がテーマ
 ルイジアナの被害には触れないスティーヴは本当にやり直したのだろうか

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 シェールガス採掘権の契約営業担当者の挫折と転機を描いた映画「プロミスト・ランド」を見てきました。
 封切り2週目土曜日、全国9館東京で2館の上映館の1つ新宿武蔵野館3(84席)午前11時10分の上映は9割くらいの入り。

 農村出身のスティーヴ・バトラー(マット・デイモン)は、グローバル社の営業担当として農村地帯の地主たちからシェールガス採掘権を破格の安さで取得し続けていた。良質のシェールガスの埋蔵が確認されたある農村地帯で、同僚のスー(フランシス・マクドーマンド)とともに農場主と契約を進めていたが、住民説明会で地元の教師フランク・イェーツ(ハル・ホルブルック)から採掘法の欠陥のために土壌汚染が生じる危険を指摘され、しかもフランクが指摘したシェールガス鉱脈の評価についての最新のデータがスティーヴが村の有力者に示した数字より遥かに高くスティーヴが買い叩くために嘘の数字を示したことも発覚してしまい、村の有力者は3週間後の住民投票を提案する。農場主を回るスティーヴとスーを尻目に、どこからか現れた青年ダスティン・ノーブル(ジョン・クラシンスキー)が村の酒場で自分はネブラスカの農場の生まれだがシェールガスの採掘で土壌が汚染され牛が死に農場主は全てを失ったと告白し、翌日からグローバル社は出て行けというポスターやステッカーが次々と貼られ、スティーヴは反撃を画策するが、ダスティンの正体は?住民投票の行方は…というお話。

 快調に進んでいた営業が躓き、行く先々でダスティンに先を越され、酒場で仲良くなった地元の小学校教師アリス(ローズマリー・デウィット)までダスティンに奪われ…という行き詰まりの中で、スティーヴがどうするかが作品のポイントとされ、公式サイトのキャッチ・コピーは「人生はいつでも、やり直せる。」なのですが、見終わっての感想としては、大企業のあまりの悪辣さとそれを知ったスティーヴのささやかな抵抗という印象でした。
 スティーヴが手に入れたダスティンの話が嘘だという証拠は、写真の農場はネブラスカじゃなくルイジアナというのですが、ネブラスカじゃないからダスティンが自分の農場で起こったことだというのは嘘としても、でもルイジアナでそういう被害が現に起きてるなら告発自体は本当じゃないのか。会社の悪行を知っても、そこにはなお触れないスティーヴは、本当に「やり直した」のか?

 スティーヴが舌先三寸で調子のいいことを言い続けて村人たちにサインさせた契約書、スティーヴが説明しない部分にどういう条項があるのか、仕事がらとても気になりました。
(2014.8.31記)

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