たぶん週1エッセイ◆
映画「レンタネコ」
ここがポイント
 ハートウォーミングな「お話」というか「小噺」っぽい作品
 登場人物はみんな変な人だけどどこか切ない。「星の王子さま」のいろいろな星の住人たちのように

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 荻上直子監督の最新作「レンタネコ」を見てきました。
 封切り2週目土曜日、テアトル新宿(218席)諸般の事情によりうちを出るのが遅くなって午後2時20分の上映は7割くらいの入り。

 小さい頃からなぜかネコが寄ってくるサヨコ(市川実日子)は、祖母を失いたくさんのネコと暮らし、「今年こそ結婚するぞ」と誓いながら、リヤカーを引いて寂しい人にネコ貸しますというレンタネコ屋を営んでいた。サヨコは、道々で夫に先立たれ小さい頃はかわいかった息子ともうまく行かない老婦人、単身赴任が長くなるうちなついていた娘もお父さん臭いと煙たがるようになり傷心中のサラリーマン、1人だけの支店で単調な仕事に飽きているレンタカー屋の店長など、ちょっと変わった寂しい人を見つけ、ネコを貸しだして寂しい心の穴を埋めてもらおうとするが・・・というお話。

 寂しい人4人のそれぞれの事情と、その寂しさをネコに癒してもらい、またそれで人の心を温めようとするサヨコの思い・生き様を描く、実質4話構成オムニバスに近いほのぼの系の映画です。コミカルなタッチではありますが、コメディとはいえず、ネコを貸すたびに繰り返す同じ会話とその若干のずらしとかのおとぎ話的な手法も見られる、ハートウォーミングな「お話」というか「小噺」っぽい作品です。
 ネコ嫌いの娘の名前をネコに付けるお父さん、ドーナツの「穴」を食べるためにドーナツの外側をぐるりと囓っていくレンタカー屋の店長とか、変な人だけどどこか切ない。「星の王子さま」のいろいろな星の住人たちが変なことをいったりいばり散らしていたりしても寂しい人たちであるように。
 「私たちAカップの女はCクラス」と見つめ合うサヨコとレンタカー屋の店長。う〜ん・・・このコンプレックスは広がりがあるのか・・・

 「ジャミコ」ことサヨコと「嘘つきはったりの吉沢」の中学同級生再会の話は、ちょっと切なくほろ苦い。中学生の時と変わらないところを残したまま大人になった2人は、それでももちろん中学生のままではないわけで、少し葛藤を抱えたままにすれ違っていく。世の中うまく行かないねとも、それでいいんじゃないとも思えるのですが。

 サヨコさん、結局この人何をやって生活してるんでしょ。あるときはデイトレーダー、またあるときは行列のできる占い師、そしてあるときは・・・って、ホントなんだろうか。

 エンドロールに書かれた出演者のネコちゃんたちの名前にまた癒されました。

(2012.5.20記)

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