たぶん週1エッセイ◆
映画「書道ガールズ!! -私たちの甲子園-」

 高校書道部員たちが町おこしのために書道パフォーマンス甲子園を呼びかける青春映画「書道ガールズ!! -私たちの甲子園-」を見てきました。
 封切り3週目日曜午前は2割くらいの入り。

 四国中央高校書道部は、部長の里子(成海璃子)と美央(山下リオ)が大会で優勝する実力があったが、美央が退部してから、退部者が続き、みんなの気持ちはばらばら。副部長の香奈(桜庭ななみ)が団体戦参加を希望し、新任の顧問池澤(金子ノブアキ)の書道パフォーマンスに感激した清美(高畑充希)が書道パフォーマンスを始めたが、里子は書道は個人でやるものと反対し、小春(小島藤子)は耳を貸さずに音楽を聴き続けているし、池澤は里子の優勝作品を見て「つまらねえ字」と言い放ちながら、自分は指導する資格がないとゲーム機を手放さない始末。そんな中、清美の家業の文具店が不況のため店をたたんで清美は広島に引っ越し、里子の幼なじみの智也(市川知宏)の祖父の経営する紙工場は紙作りの腕はいいのに低価格品しか売れないと店においてもらえず倒産してしまう。そして里子は香奈から、美央が好きな書道に気もそぞろとなっていたのは2人暮らしの母親が入院しアルバイトをせざるを得なくなったためと教えられる。寂れた商店街を見て、自分たちの好きな町を再生させようとようやく心を一つにした書道部は、町おこしのために書道パフォーマンス甲子園の開催を呼びかける。県外の3校から参加の申込があり、いよいよ書道パフォーマンス甲子園が四国中央市で開催されることになるが・・・というお話。

 実話に基づいている(舞台はそのまま四国中央市)こともあり、設定が地味でストーリーも奇跡など起こらないところに、私はむしろ好感が持てました。このあたりは好みが分かれるところと思いますが。寂れた商店街のシャッター通り、倒産してしまった同級生の家業、入院し続ける同級生の母親とそのために大学進学をあきらめて就職する友人。そういう社会の、大人の問題を何とかしようと高校生が書道パフォーマンス甲子園を企画し、実現するけれども、それですべてが解決するというような夢物語にはならず、問題は続くけれども、でもあきらめるのではなくチャレンジを続けよう、そういうスタンスで映画が作られているのが、地に足が付いている感じでよかったと私は思うのです。

 成海璃子が、前作「武士道シックスティーン」に引き続いて、頑固な親に育てられ一芸に一筋に歩んできた生真面目で融通の利かない娘の設定で主役を張っています。こういう設定だと主人公一人では話が進まないのでタイプの違うキャラと合わせて引き立たせる手法にならざるを得ませんが、今回は群像劇っぽくすることでそれに対応しています。里子とは別の意味で我が道を行くタイプの清美、「感動した」が口癖の香奈、引きこもり気味の小春と癖はあるけど際立たないキャラが多いからかなとも思いますが、チームワークを前に出すためにはそれがよかったともいえます。

 「私の好きなもの、真っ青な空と海に続く坂道、町のどこからも見える紙工場の景色」ってフレーズが繰り返し出てくるんですが、冒頭から出てくるそのバックの空が思い切り曇ってるのはなぜでしょう。最初だけじゃなくて、最後までスカッとした青空っていう空を見せるカットは出てきませんけど。

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