庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

たぶん週1エッセイ◆
映画「ミッドナイト・ガイズ」
 28年ぶりに出所したギャングとボスからその殺害を命じられている引退した元ギャングの友情と苦悩を描いた映画「ミッドナイト・ガイズ」を見てきました。
 封切り2週目日曜日、全国2館、東京で唯一の上映館ヒューマントラストシネマ渋谷シアター2(173席)午前10時10分の上映は5割くらいの入り。観客層はメインの3人の男優がいずれも70代というキャスティングからして中高年中心かという予想を裏切り意外に若者が来ていました。

 ギャング組織の襲撃事件で罪を全部かぶって服役し28年ぶりに出所したヴァル(アル・パチーノ)は、その間唯一連絡を続けていた仲間のドク(クリストファー・ウォーケン)に迎えられる。ヴァルの希望に従い薬屋に侵入してバイアグラなどを盗み出し娼館で大騒ぎし、孫のアレックス(アディソン・ティムリン)が働くレストランで食事をするが、ドクは組織のボスクラップハンド(マーク・マーゴリス)から、ヴァルが事件の際に興奮したボスの息子の乱射が元で始まった銃撃戦の過程でボスの息子を射殺してしまったことを理由にヴァルを殺害することを命じられていた。ドクの態度に不審を感じたヴァルは、おまえが刺客かと尋ね、ドクはそれを肯定する。期限が明朝10時と聞いたヴァルは、まだ9時間あまりあると、ドクとともに別のギャングのスポーツカーを盗み、療養所で死を待つ身の元仲間ハーシュ(アラン・アーキン)を連れだし、ハーシュの希望でまた娼館に戻った後、スポーツカーのトランクに閉じ込められていた裸の女シルヴィアの話を聞き、車の持ち主のギャングたちジャーゴニュー兄弟のアジトに乗り込み…というお話。

 ギャングのボスから最初は従わなければおまえを殺すと言われ後には孫が「事故」にあってもいいのかと脅されて元仲間のヴァルの殺害を命じられているがためらい続けるドクと、ドクの告白を受けて明朝午前10時までの命と知りつつそれを受け入れるヴァルの2人の仲間を思う気持ちと葛藤・苦悩を描く心理描写が見どころの作品です。
 それに加えて、着実に迫る悲劇を前に、最後のバカ騒ぎに興じるオジイたちのダンディズムと滑稽さ、哀しさを味わう作品だと思います。

 バイアグラを「ひとつかみ」飲んで(よいおじさんはまねしないように!)4連戦で娼婦を圧倒したヴァル、ずっとやりたかったことはないかと聞かれて3人プレイがしたかったと娼館の経営者ウェンディ(ルーシー・パンチ)を口説き落とし絶賛されるハーシュと、オジイたちのお盛んぶりが際立ちます。役柄上の年齢は不明ですが、実年齢「後期高齢者」のアラン・アーキンの達者な様子を見ると、53歳おじさんとしては、そうか歳をとっても大丈夫なんだと、ちょっと希望を感じます(^^ゞ
 緑内障や高血圧の錠剤を粉砕してストローで鼻から吸い込むヴァル。実際にこういうことするとどうなるんだろうと、好奇心を持ってしまいます。 

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