庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

たぶん週1エッセイ◆
映画「スター・トレック BEYOND」
ここがポイント
 カーク船長の円熟味というよりも老いを感じさせる作品
 ウルトラマンのジャミラと比べてしまうのは、おじさんのノスタルジーでしょうか

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 スター・トレック新シリーズ第3作「スター・トレック BEYOND 」を見てきました。
 封切2日目日曜日、新宿ピカデリースクリーン3(287席)午前10時25分の上映は8割くらいの入り。

 5年間の深宇宙探索の任務3年目に入った宇宙船USSエンタープライズ号のジム・カーク船長(クリス・パイン)は、惑星連合の巨大宇宙都市ヨークタウンに寄港した際、船を降りてヨーク・タウンの副提督への就任を申請し、後任の船長にスポック(ザッカリー・クイント)を推薦する。他方、スポックは、バルカン人再興のためにバルカン人の子を増やす必要を感じ、バルカン人と一緒になるために地球人の恋人ウフーラ(ゾーイ・サルダナ)に別れを告げる。ヨークタウンに救助を求める信号を送ってきた遭難船の救助に向かうことになったカークとスポックは互いに胸の内を伝えられないまま、待ち受けていた宇宙船からの攻撃を受け、USSエンタープライズ号は主エンジンを失い、クルーは脱出ポットで惑星にばらばらに降り立ち…というお話。

 新シリーズ第2作でやや円熟味を見せたカークは、クルーの意見を聞かず暴走する場面もなく、クルーとの信頼感・チームワークを尊重し、温厚で模範的な船長ともいえる態度で、第3作ではカークの円熟味・成長を超えて、老いを感じさせています。スポックは、ウフーラとの関係で人間味を見せ、カークとの間でも人情味のある表情の場面が多くなっています。
 機関士スコッティ(サイモン・ベッグ)、医師ボーンズ(カール・アーバン)、パイロットスールー(ジョン・チョウ)らクルーの見せ場も用意され、チームの勝利的な演出もなされています。
 他方、敵役のクラール(イドリス・エルバ)の設定は、本来的にはその背景事情に深みを持たせうると思うのですが、「ウルトラマン」のジャミラと比較しても複雑な感情や哀感を誘う描きぶりがなく、そこにやや物足りなさを感じました。経緯はどうあれテロリストはテロリストでしかない、という割り切りが、アメリカ的/いや日本も含めた現代の世情、でしょうか。
(2016.10.23記)

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