たぶん週1エッセイ◆
多田謡子反権力人権賞2011
 今年も多田謡子反権力人権賞の季節がやってきました。
 ここのところ毎年お知らせしていますが、私は、多田謡子反権力人権基金の運営委員、この基金が運営している多田謡子反権力人権賞の選考委員をしています(詳しくはこちら)。 
 今年は9月27日、10月11日、17日の3回の運営委員会で、受賞者の選考が終わり、本年度は、ASIAN PEOPLE’S FRIENDSHIP SOCIETY(AFPS:非正規滞在外国人の権利擁護の闘い)、佐々木静子さん富士見産婦人科病院事件での闘いと女性のための医療)、石丸小四郎さん(福島原発反対運動)、脱原発福島ネットワーク(福島原発反対闘争)の4者を選出しました。
 今年の受賞発表会は12月17日(土)午後2時から総評会館(お茶の水)201号室で行われました。
 AFPSからは加藤丈太郎代表理事に在留資格のない入国者やオーバーステイなどの非正規滞在(入管当局の言葉では不法滞在)が発生する原因と非正規滞在外国人が置かれている状況、APFSが行ってきた集団出頭運動と在留特別許可取得の活動などについて報告していただきました。
 佐々木静子さんからは、摘出する必要のない子宮と卵巣を摘出され、その後もホルモン剤投与を受け続けなければならなくされた被害者が1000名以上の発生した事件の異常性と、26年にも及んだ損害賠償請求訴訟の経緯などについて報告していただきました。
 石丸小四郎さんからは、長年にわたる地元での反対運動に加えて、現在の福島県内での学校の放射線レベルが除染後でさえ原子力施設の放射線管理区域にあたる線量以上でありこのような環境に子どもたちを置くことは許されないこと、除染は地元の人々が一生懸命やっていることで国も東京電力も何もしていないことなどについて報告していただきました。
 脱原発福島ネットワークからは佐藤和良さんに石丸さんらの第一世代から1980年代終盤の佐藤さんら第二世代、そして第三世代への継承のために昨年ハイロアクション福島原発40年を結成した経緯や、東京電力の事故隠しやプルサーマル計画を通じて県が軸足を移してきていたこと、3.11後の国・行政の対応はまるで避難させないために除染を行い、治療を前提としないで安全宣言のために住民の検査・調査を続ける「避難なき除染」「治療なき調査」に終始していることなどについて報告していただきました。
 両者の報告では、前日の野田総理の事故収束宣言に対し、現在も放射性物質が放出され続け、高濃度の汚染が続く中で事故収束などとんでもないという意見が相次ぎました。
 なお、今回の受賞発表会での受賞者の講演はUstream中継され、原子力資料情報室のサイトで見ることができます(前半はこちら、後半はこちら

 受賞発表会後の交流パーティーでは、講談師で今回の候補者の一人でもありました神田香織さんに乾杯のご挨拶をいただき、例年以上に多かった参加者に次々ご発言をいただき、充実した時間を過ごすことができました。
 現在のところ、基金はあと2年は継続できる状況にあります。また来年お会いしましょう。
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