庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

たぶん週1エッセイ◆
映画「オデッセイ」
ここがポイント
 絶望的な状況に陥ったマークが、事態を冷静に認識しつつ、可能なことにチャレンジを続ける姿がテーマ
 広大な宇宙空間、想像を絶するレベルのハードルの高さが、説教臭くならずに感動的に描く手助けとなっている

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 火星に置き去りにされた宇宙飛行士のサバイバルを描いた映画「オデッセイ」を見てきました。
 封切り7日目木曜日祝日、新宿ピカデリースクリーン1(580席)午前9時の上映は8割くらいの入り。

 火星での調査活動中に嵐が直撃し、飛ばされて宇宙服が破損した状態で行方不明となったマーク・ワトニー(マット・デイモン)を残して調査隊は火星を去り地球への帰路についた。命からがらベースにたどり着いたマークは、刺さっていた金属片を摘出して応急処置をし、酸素も水も食糧も乏しく通信手段はなく次の火星探査は4年後という状況で、ビデオ録画装置に遺言となるかも知れない記録を残しながら、ベース内に畑を作り人糞を撒き水素と酸素から水を作ってジャガイモを植える。NASAは、マークの死亡を発表していたが、火星の軌道上の人工衛星写真でソーラーパネルが移動していることからマークの生存に気がつき、救出作戦の可能性を議論し始め・・・というお話。

 宇宙空間を舞台としたSFではありますが、絶望的な状況に陥ったマークが、絶望的な事態を冷静に認識しつつ、自暴自棄にならずに、可能なことにチャレンジを続け、一つずつ足がかりを見つけて行くという姿がテーマとなっていて、様々なシチュエーションに当てはまりうるお話になっています。広大な宇宙空間、想像を絶するレベルのハードルの高さが、そういった冷静で強靱な意志を、説教臭くならずに感動的に描く手助けとなっているように思えます。

 水がないと言って酸素と水素と火で水を合成するのですが、水よりも酸素はさらに乏しいはずで、むしろ地下水をくみ上げてそれを分解して酸素を作っているのかと思っていたので、じゃあその酸素はどうやって確保してるのかと思ってしまいました。火星の大気の主成分の二酸化炭素から酸素を作っているという設定なのでしょうか。それができる装置が開発されているという設定なら、当然水を合成する装置も開発されていると思うのですが。
 そして、ジャガイモの栽培に成功しても、他の食糧がない中でジャガイモだけで生き延びられるものでしょうか。例えば塩もなくても…

 原題は " The Martian " で、火星の人。邦題の「オデッセイ」は、ギリシャ語の長い冒険で、まぁ意味は取れますが、しかし「オデッセイ」と言われると、ホメロスの叙事詩をイメージしてしまいますので、ちょっとどうかなと思います。

 サバイバル映画ということで、エンディングのテーマで、 " I will survive " (邦題は「恋のサバイバル」)が流れます。1978年のヒット曲で、その年に大学入学の私には懐かしくなじみのある曲ですが、制作者も同年代なのでしょうか。マークが火星で聴く曲が、同僚が残していったコレクションのディスコミュージックばかりなのは、ここに落ちを付けたい制作者の布石だったのかとも思えますが。
(2016.2.11記)

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