庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

たぶん週1エッセイ◆
映画「LIFE!」
ここがポイント
 引っ込み思案で妄想癖があるウォルターが冒険を通じてみせる成長がテーマ
 冒険場面はあるけれども基本はハートウォーミング系の作品

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 雑誌「LIFE」の写真管理部で働く地味な男の冒険を描いた映画「LIFE!」を見てきました。
 封切り7週目月曜日祝日、ヒューマントラストシネマ渋谷シアター1(200席)午後1時45分の上映は9割くらいの入り。

 雑誌「LIFE」の写真管理部に勤務するウォルター・ミティ(ベン・スティラー)は、42歳の誕生日の朝、遅刻して出勤したところ、勤務先が買収され「LIFE」が休刊となり大幅なリストラが行われることを知らされる。「LIFE」の休刊の噂を聞いた有名な写真家ショーン・オコンネル(ショーン・ペン)はウォルター宛にネガを送り、同封されていた手紙には25番が傑作だからそれを最終号の表紙に使ってくれと書かれていたが、ネガフィルムからは25番の写真だけが欠落していた。最終号の写真出稿限界まではあと2週間。ウォルターは携帯電話を持たない主義のショーンを探してグリーンランド、そしてアイスランド、さらにはアフガニスタンへと旅を続けるが…というお話。

 冒頭、ウォルターが、家計簿を付けて顔をしかめながら、ふと出会い系サイトを見て同僚の経理部員シェリル・メルホフ(クリステン・ウィグ)を発見し、ウィンクメッセージを送ろうとして、何度も何度もためらった末にボタンを押したら、ウィンクが送れない、それで出会い系サイトの担当者に電話をして電車を待ちながら解決法を聞いているうちに、空想の中で突然駅からシェリルの住むマンションにダイブしてシェリルを(正確にはシェリルの飼い犬を)助け、我に返ると電車が出た後という流れで、実直で経済的には追い込まれ、引っ込み思案で思いを寄せる同僚にも直接声をかけられず、妄想癖があり人前で妄想してあっちの世界に行ってしまうというウォルターの人柄とシチュエーションが見事に紹介されています。その引っ込み思案で妄想癖のあるウォルターが、追い込まれて冒険に出て成長するという姿が、この作品のテーマになっています。前半では度々ウォルターの妄想が登場し、冒険が進むにつれて妄想が登場しなくなる構成、直接声をかけられずネットでウィンクボタンを押すことも躊躇に躊躇を重ねる冒頭からシェリルにフランクに話しかけるようになる後半への流れで、ウォルターの成長を表しています。
 冒険の場面はわりとありますが、特に前半でそのアクションが妄想ということが多いこともあって、アドベンチャーというよりはハートウォーミング系の印象が強い作品です。
 電子化を進めてリストラを図る会社側の姿勢と、携帯電話も持たずに秘境での撮影と冒険に明け暮れるショーンを対比させることで、最新技術に走る者とアナログ派の対立の様相も見えますが、そこはウォルターが「写真管理部」というアナログの代表的な業務ではあるもののコンピュータと携帯電話(それも海に飛び込んでも大丈夫、アフガニスタンの高山でも通話できているというのですから、ハイスペックの)を使いこなしているので、ピッタリとははまらない感じです。
 ウォルターが思いを寄せる相手はバツイチ子連れというのも、今どきのアメリカ映画の傾向でしょうか。
(2014.5.6記)

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