庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

たぶん週1エッセイ◆
映画「ザ・スーサイド・スクワッド」
ここがポイント
 政府高官や自国政府が「極悪人」より悪質に見える描き方にアメリカの自由さを感じる
 他方で、悪役が世界や市民を救うというストーリーにはキングコングがともだちになってしまうような違和感を持つ
    
 DCコミックの悪役たちが減刑と引き換えに危険なミッションに挑む「スーサイド・スクワッド」の続編「ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結」を見てきました。
 公開3日目東京23区西部大雨・洪水警報下の日曜日、新宿ピカデリーシアター2(301席:販売147席)午後1時30分の上映は8割くらいの入り。

 アメリカの刑務所に収監中の囚人サバント(マイケル・ルーカー)らは政府高官アマンダ・ウォラー(ヴィオラ・デイヴィス)の命で、減刑と引き換えに体内に爆弾を埋め込まれて命令違反をすると爆死させる条件で、南米の小さな島コルト・マルテーゼの独裁者が開発した地球外生命体スターフィッシュによる生物兵器を要塞ヨトゥンヘイムごと抹消するというミッションを課せられた。招集を拒否したが万引で逮捕された娘の処遇を人質に参加せざるを得なくなったブラッドスポート(イドリス・エルバ)は、平和のために大量殺人をいとわないというピースメイカー(ジョン・シナ)、ネズミ使いのラットキャッチャー2(ダニエラ・メルシオール)、水玉を放出して敵を倒すヒーローのポルカドットマン(デヴィッド・ラストマルチャン)、あらゆるものを食い尽くす鮫男キング・シャーク(シルベスター・スタローン)とともに島に上陸し、別部隊で生き延びたリック・フラッグ(ジョエル・キナマン)、ハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)と合流し、兵器開発者シンカー(ピーター・キャパルディ)を捕らえて要塞に挑むが…というお話。

 重大犯罪者を脅しつけて危険なミッションへの参加を強要する政府高官の悪辣さが、「極悪人」よりも際立ち、そういった権力者の非道ぶり、自国政府の悪質さ加減を平然と描いているのは、娯楽作品ながら、アメリカの自由さを感じさせます。
 他方で、強要されたミッションという設定ではありますが、悪役たちが最終的には自主的に世界をとか市民を救うというストーリーには、どこか違和感を持ちます。ガメラやモスラがいつの間にか人間の味方になり、キングコングがともだちになってしまったような…。悪役には、悪役としての矜持を持っていてもらいたいなぁと思います。

 娯楽作品として、うまく流しうまくまとめていると思いますし、ビジュアルでは鳥やネズミ、クラゲ風のカラフルな魚(?)たちのCGに感心しますが、最後が怪獣映画になってしまうのが、今ひとつに思えました。
 「スーサイド・スクワッド2」ではなくて「ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結」というタイトルなのは、前作と共通のキャラがアマンダ・ウォラー以外では、リック・フラッグ、ハーレイ・クイン、キャプテンブーメランだけと少なすぎるせいでしょうか。原作タイトルは、前作が “ Suicide Squad ” 今作が “ The Suicide Squad ” と、the を付けただけですが。
 ラストに続編を示唆するカットがあります。今回「スーサイド・スクワッド2」としなかったことで、続編のタイトルはどうするのでしょう。
(2021.8.15記)

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