◆たぶん週1エッセイ◆
映画「テルマエ・ロマエU」
ローマ側で設定とストーリーを作った分日本側はぶつ切りで添え物になった印象
着想の斬新さと文化ギャップへの驚きで見せる作品だけに、2作目になると飽きた感が強い
古代ローマの風呂設計技師が現代日本との間でタイムスリップを繰り返す漫画の映画化第2弾「テルマエ・ロマエU」を見てきました。
封切り2週目日曜日、TOHOシネマズ日劇スクリーン2(666席)午前11時40分の上映はほぼ満席。
ローマでは、戦争により得た領土を一部返還し公衆浴場(テルマエ)を整備して民心を安定させ平和な国を築こうとするハドリアヌス帝(市村正親)とコロッセオ(競技場)での凄惨な格闘を見せ続け好戦的な意識を煽ろうとする元老院が対立していた。格闘で傷ついたグラディエーター(剣闘士)の治癒のためのテルマエの設計をハドリアヌス帝から依頼されたルシウス(阿部寛)は、力士たちが集う公衆浴場にタイムスリップして、足ツボ刺激ボードやマッサージ機、入浴剤などに感動し、それらを導入したテルマエを作り、皇帝の信頼を得た。さらに子ども用のテルマエや大規模なテルマエ、北方の戦線で戦士の疲れを癒やせる小型テルマエなどを依頼されたルシウスは、度々現代日本の「平たい顔族」の温泉地にタイムスリップして、ウォーターシュート(滑り台)や草津温泉郷、樽風呂などを導入して次々と新たな浴場を作って好評を博した。ルシウスに好意を持った漫画家の山越真実(上戸彩)は、ルシウスとともに古代ローマにタイムスリップし、次期皇帝ケイオニウス(北村一輝)の罹った疫病が結核であり隔離が必要だと述べ、魔女だと決めつけられて捕らえられるが…というお話。
前作と比較して、古代ローマ側での設定を平和を志向するハドリアヌス帝と、好戦的な意識を煽り陰謀を企てる元老院とその傀儡の対立というわかりやすい設定にして、それにあわせてストーリーをそれなりに作った結果、ルシウスサイドのストーリーはわりとすっきりして見やすくなっていますが、現代日本側は細切れでまったく脈絡がなくなり、完全に添え物化しています。
ハドリアヌスとケイオニウスの思考、人柄について、前作とは少し評価が変わっているように思え、やや戸惑うところもあります。
タイムスリップは、もうルシウスの思うままという感じですし、この作品の見せ場とも言うべきルシウスの「平たい顔族」文化に対する驚き(大仰な評価)も、これだけ見せられると、もう飽きたなという印象が先に立ちます。着想の斬新さと、文化ギャップへの驚きで見せる作品だけに、柳の下に2匹目のドジョウがいると考えるのは甘いのではないかと思えます。そうは言っても現に観客動員はなされているので制作側のもくろみは当たったことになるのでしょうけど。
他の映画館は知りませんが、TOHOシネマズ日劇では、開始前のCMにケロリンのCMが出稿されていました。改めて、あぁケロリンって頭痛薬だったんだって気がつきましたが、やっぱりこれテルマエ・ロマエUに合わせて出してるんだよなぁ、やっぱり力入ってるなぁと思ったのですが、映画では今回はケロリンのケの字も出て来ませんでした。
(2014.5.4記)
**_****_**