たぶん週1エッセイ◆
映画「魔法使いの弟子」
ここがポイント
 マーリンとモルガナがなぜイングランドではなくニューヨークで復活するのか…
 ミッキーマウスの短編からむりやり膨らませた実写映画なのでファンタジーとしての設定とかはいい加減
 むしろ「弟子」のデイブのベッキーに寄せる思い、魔法使いたちのヴェロニカを巡る三角関係のラブ・ストーリーとしてみた方がよさそう

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 1000年あまり前に封じ込まれた魔女モルガナの仲間たちが現代のニューヨークで復活して魔法大戦争を繰り広げるというディズニーのアクションファンタジー映画「魔法使いの弟子」を見てきました。
 封切り2週目土曜日昼頃の上映は2〜3割の入り。

 1000年あまり前のイングランドで3人の弟子の1人ホルヴァート(アルフレッド・モリナ)の裏切りにより魔法使いマーリンは倒され、残された弟子のヴェロニカ(モニカ・ベルッチ)は自らの体に魔女モルガナを誘い込んでマトリョーシカの中に封印し、バルサザール(ニコラス・ケイジ)はマーリンの形見の指輪を手にモルガナを永遠に滅ぼすことのできる「選ばれし者」を探して放浪し続けていた。ある日遠足のときに思いを寄せているベッキーに「ぼくの友達、彼女、どっちになりたい?」と書いた紙への返事のメモが風に飛ばされたのを追ってバルサザールの骨董品店に足を踏み入れた10歳の少年デイブにマーリンの指輪を手渡したバルサザールは指輪がデイブを選んだことを知るが、そこを襲撃してきたホルヴァートと相打ちになってともに壺の中に封印されてしまう。10年後、物理学に驚異的な才能を現したデイブ(ジェイ・バルチェル)は大学教授から地下の秘密の研究室を与えられてプラズマの研究をしていたが、壺から脱出したホルヴァートとバルサザールに見つかり、バルサザールから魔法の特訓を受けるようになる。モルガナらが封印されたマトリョーシカを追って両陣営が競い、ホルヴァートらはモルガナを復活させるため、死者を呼び戻す魔法を使う準備を進めるが・・・というお話。

 マーリンとかモルガナが出てくるあたりから、本来の舞台は中世(古代か・・・)のイングランドなわけで、それがなぜイギリスじゃなくてニューヨークで復活するのかという疑問にさいなまれます。
 もともと原作はディズニーの「ファンタジア」で、未熟な魔法使いのミッキーマウスが箒に魔法をかけて掃除をさせようとして収拾が付かなくなったというアニメーションで、それをむりむり膨らませて実写映画にしたというものですから、設定やストーリーがいい加減なのは仕方ない面もありますけど・・・

 魔法とかアクションよりも、大学で大人になったベッキー(テリーサ・パーマー)と再会したデイブのベッキーに寄せる思い、そしてかつてのホルヴァートの裏切りがヴェロニカをめぐる三角関係のもつれだったというマーリンの弟子たちの思いという2本立てのラブ・ストーリーとして見る方がいいかもしれません。
 ベッキーとの約束を優先して魔法の練習を度々途中で放棄するデイブに対して、魔法使いにとって恋愛は邪魔になるだけと言い切りながらも結局強く出れないバルサザールの苦渋の表情。それは実は自分自身が寄せていたヴェロニカへの思いと重なるからですが、後でモルガナを体内に抱え込んだまま復活したヴェロニカを攻撃できないときとあわせて、バルサザールの苦悶の表情が、実にいい。こういう役は、ニコラス・ケイジのはまり役という感じです。
 魔法使いだと告白されても動じないベッキーのあっけらかんとしたたくましさも、ラブ・ストーリーとしては好感を持てます。

 エンド・ロールの後に続編へ続くと言いたいような、しかし制作会社のプロモーション映像とも取れるような中途半端な映像がひっついています。売れたら続編、こけたら1作限りにできるようにごまかしやすいような腰の引けたエンディングと感じられました。

(2010.8.21記)

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