たぶん週1エッセイ◆
映画「THIS IS IT」
ここがポイント
 プロモーションビデオより完成度の低い映像だが、観客の満足度は高い
 バックダンサーやコーラスのメンバーが、子どもの頃にマイケルのヒット曲を歌っていた、そのマイケルと共演できるなんて夢のようだと語る姿は、ジーンと来る

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 マイケル・ジャクソン急死のため実現しなかったロンドン・ツァーのリハーサルビデオを編集した映画「THIS IS IT」を見てきました。
 封切り3週目日曜日、新宿ミラノ1では上映開始2日目ですが、2割くらいの入り。全国的な興行成績は2週続けてぶっちぎりの1位ですが、途中からの上映では人が集められないのか、ミラノ1が大きすぎるのか。でも、観客の満足度は高いようで、エンドロールが終わると拍手が起こるし、もう一度見てもいいねと話しながら帰る人がけっこういました。映画を見に来たというよりはコンサートに来た感じなんでしょうけど。

 マイケル・ジャクソンと伴奏者、バックダンサーらのリハーサル映像と演出についてのマイケルと関係者の意見交換、ツァーで流すための映像の撮影シーンにスタッフのインタビューというかコメントを組み合わせて、マイケルがロンドンツァーに向けてこういうことをやろうとしていたということを映画化したものです。
 リハーサル映像の編集だということが最初から前提にされているので、マイケルもバックダンサーも違う衣装の映像が切り替えで続きます。プロモーションビデオで売ってきたマイケルのこれまでから考えれば、プロモーションビデオより完成度の低い映像ですが、事情が事情で、マイケル死後間がない時期で思い入れがあるので、悪くは感じません。
 見ていると、ヴィジュアルを重視しショー的な要素が多いツァーのためその準備も大規模で、とても多くの人々の手がかかっていることがよくわかります。だからこそロンドンツァーが中止になったことで大きな損害が生じその回収をもくろんでこういう映画が作られたのでしょうし。でも、リハーサル映像だけで映画が作れるのも、もともとがヴィジュアル重視のツァーだったためで、ツァーで流す映像の撮影だけでもかなりの量に上るため映画的にも変化をつけやすかったのだと思います。

 バックダンサーやコーラスのメンバーが、子どもの頃にマイケルのヒット曲を歌っていた、そのマイケルと共演できるなんて夢のようだと語る姿は、ジーンと来ます。マイケル、もう50歳でしたし。

 近年は、マスコミではスキャンダルと批判ばかりが報じられていたマイケルが、死んだら映画は、リハーサル映像のつぎはぎでも大ヒット。現実のマイケルには困惑しても、ヴァーチャルな・デジタルなマイケルは好きというところなんでしょうか。もっとも、掌を返したように態度を変えているのはマスコミだけで、ファンの人々はスキャンダルが報じられても音楽やダンスには関係ないと思っていたのでしょうけど。

(2009.11.15記)

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