◆たぶん週1エッセイ◆
映画「ツレがうつになりまして。」
普通にいえば理想の妻とは言い難いハルが、夫のうつ病や退職に自然体で対応する、ある種の図太さ、開き直りと、度々登場するイグアナののんびり感が、いい味を醸し出している
うつ病になって会社を辞めた夫と漫画家妻の闘病記を映画化した「ツレがうつになりまして。」を見てきました。
封切り2日目、渋谷TOEI1の午前10時40分の上映は6割くらいの入り。年齢層はばらけていましたが、カップルが多数派だったような。
自宅が仕事場で家事は苦手、朝寝坊の漫画家崎晴子(宮崎あおい)と、自分のお弁当を自分でつくり曜日ごとにお弁当に入れるチーズとネクタイの色が決まっている几帳面なソフトウェア会社従業員の崎幹男(堺雅人)夫婦は、年代物の家でイグアナのイグとともに平穏な日々を送っていた。しかし、会社で執念深いクレーマーの電話を受け続けていた幹男は、次第に食欲がなくなり不眠が続き、ある朝お弁当が作れなくなり、何にもできないと言い出す。渋る幹男を病院に行かせ、うつ病の診断を聞いた晴子は、幹男に会社を辞めるよう求め、「会社を辞めないなら離婚だからね」とまで宣言する。会社を辞めても幹男の症状はよくならず、少しよくなってもまた悪化する日々が続いた。連載を打ち切られてしょげていた晴子は、失業保険も切れ生活費も乏しくなり、担当編集者に、ツレがうつになりまして、仕事を下さいと頼み込む。自身がうつになって配置転換された単行本部門の編集者から、作家は書きたいものを書けばいい、書きたくないものを媚びて書いていると編集者にはそれが分かるとアドバイスされた晴子は・・・というお話。
映画が始まってまず驚くのは、ハルが夫のことを「ツレ」って呼んでいること。第三者に紹介する時じゃなくて、夫自身に対して呼びかけるのに「ツレ」って呼ぶんですよ。(それより先にイグアナに驚くかもしれませんが)
自宅でごろごろして仕事もそれほど熱心にはせず、家事も苦手で、夫の食欲不振や腰痛、いびき、性欲減退等の前兆にも気付かずにいた、普通にいえば理想の妻とは言い難いハルが、夫のうつ病や退職に大騒ぎすることなく自然体で対応し、悩みつつも「しんどいけどがんばらないぞ」と決意する、ある種の図太さ、開き直りと、度々登場するイグアナののんびり感が、この映画のテーマとなり、またいい味を醸し出しています。
映画を見終わって、カミさんに、そういえばここのところずっと肩が痛い、腰が痛い、いびきも時々かいてる・・・といいましたが、あっさりスルーされてしまいました。あんたのは歳(50肩)ってか。
ところで、幹男が通った加茂クリニック、扉には「内科/心臓科」って書いてあったような。うつ病の確定診断して、その後の投薬、診療を続けて大丈夫なんでしょうか。
(2011.10.9記)
**_****_**