たぶん週1エッセイ◆
映画「トワイライト 初恋」
ここがポイント
 映画のできとしては、原作にはかなり忠実だし、映像もきれい
 でも日本で不入りなのは原作日本語版のイラストとキャスティングのイメージのズレが大きいためだと思う

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 人づきあいの苦手な女子高生と超美形ヴァンパイアの恋愛映画「トワイライト 初恋」を見てきました。
 予告編の頭で全米初登場No.1と謳っていますが、日本では封切り後2回の週末とも興行成績は10位。封切り3週目日曜日朝は4割くらいの入り。客層の大半は若い女性で、おじさんの姿はほとんど見あたりませんでした。ま、原作のファン層からして当然ですが。

 原作が4巻本(日本語版は小分けして13冊)で、この映画は原作の第1巻(日本語版の1〜3)にあたります。映画もシリーズ化が決まっていて、ラストは露骨に第2巻に続くって感じです。
 母親の再婚を機に全米一雨の多い町ワシントン州フォークスの父の元に引っ越してきた人づきあいの苦手な高校生イザベラ(ベラ)・スワン(クリスティン・スチュワート)が、超美形の同級生エドワード・カレン(ロバート・パティンソン)に惹かれますが、ベラの危機を救うエドワードの異常な敏捷さや怪力、ベラの危機を察知する力からエドワードらカレン家の人々がヴァンパイアであることを知り、しかし愛し合い離れることはできないという状態になります。そこへさすらいのヴァンパイア3人組が現れベラを狙い、エドワードたちがそれを守るために戦い、1人は離れ1人は仕留めるが1人は取り逃がすというところまで。後は2巻に続くとなります。
 映画は、原作をかなり忠実になぞっていますので、ストーリーなど隠すのも無意味です。
 予告編では、「だが、ベラにはエドワードを強く惹きつける秘密があった」としています。この点、原作を読んでもはっきりわからないというか納得しにくいのですが、映画ではますますはっきりしません。映像では、エドワードが鼻を押さえるのにベラが自分の匂いをかいでみるシーンや風がベラからジェームズ(キャム・ギガンデット)側に吹いてベラが人間とわかりジェームズがつけ狙うようになるといったシーンが用意はされていますが、言葉での説明はなかったように思えます。

 映画のできとしては、原作にはかなり忠実ですし、映像もきれいにできていて、原作が気に入っているならば、本来は悪くはないはずです。
 日本で客の入りが悪い原因は、おそらくは原作日本語版のイラストとキャスティングのイメージのズレのせいでしょう。原作の日本語版は、原作の1巻分を3〜4冊に小分けして原作と違うタイトルを振っただけでなく(それだけでもずいぶん読みにくくしてくれていると思いますが)、独自のイラストを付けています。映画の公式サイトでは絶妙のキャスティングと自画自賛していますが、少なくとも原作日本語版のイラストと対比するとみんなイメージが全然違うということになります。特に主役のエドワード。原作日本語版イラストではかなり強い意志を体現した目と口元が印象的です。いかに美形でも気の弱そうな優しげな目元と締まりのない口元では、はっきりイメージを壊します。ベラは日本語版イラストでは黒髪だし(カーライルも?)いかにも日本人好みの顔にされていますから、当然かなりイメージ違います。カレン家の一族も、アリスはもっと幼げな優しげなたたずまいが欲しいところですし、ロザリーはもう少しスリムなとがったあごが欲しいし、カーライルはもう少し渋みが欲しいと思います。
 原作に思い入れのない私が見てもイメージ違うなぁと思いますから、原作ファンの大勢を占めるはずのエドワードファンには耐えられないんじゃないでしょうか。

(2009.4.19記)

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