◆たぶん週1エッセイ◆
映画「湾岸ミッドナイト」
女優さんの容貌・演技の幼さもあって、全然三角関係の匂いがせず、ドラマとしては消化不良気味
メーターばかり230kmとか表示しているが、スピード感が感じられない
公道でのスピードバトルに魅せられた青年を描いた映画「湾岸ミッドナイト」を見てきました。
新宿ミラノは封切り2週目の土曜日にして一番小さなスクリーンミラノ3でもガラガラ。「TAJOMARU」の舞台挨拶に喰われたのかも知れませんけど。
その速さを誇りながら持ち主が次々と事故にあい「悪魔のZ」と呼ばれた伝説のフェアレディZ(S30Z)のスクラップを発見した高校生朝倉アキオ(中村優一)は昼夜のバイトで稼いだ金をつぎ込み、友人の兄の自動車修理工功ちゃん(佐田正樹)の手を借りて「悪魔のZ」を再生して湾岸を飛ばし始める。「悪魔のZ」の前の持ち主だった友人(これがまた同姓同名の朝倉晶夫だそうな)を事故で失い、今はその妹えりこ(小林涼子)と交際している外科医島達也(加藤和樹)は、不敗神話を持つポルシェ911ターボ通称「ブラックバード」を駆って「悪魔のZ」を負かせてアキオに「悪魔のZ」を手放させようとする。その2人のバトルに、兄を奪った「悪魔のZ」を憎むえりこ、昼間はグラビアアイドルだが深夜はスカGで爆走する秋川零奈(松本莉緒)らが絡んで・・・というお話。
ストーリーでは、達也と交際していて、「悪魔のZ」に憎しみを持つとともに兄のその異常な愛着の謎を知りたくてアキオに接近するえりこがキーポイントになるのですが、見ていて消化不良気味。原作を読んでないので、どういうウェイトがあるのかわかりませんが、当然ドラマとしては三角関係の要素を持たせることになるはずだと思います。ところが、えりこはケンブリッジへの交換留学をあっさり決め、達也は寂しがるふうでもなく、他方、アキオの方も寄ってくるえりこに「悪魔のZ」の走りを見せること以外は興味なさそう。女優さんの容貌・演技の幼さもあって、全然三角関係の匂いがしません。
むしろ登場人物としては、ほとんどストーリー上は意味がないけど、秋川零奈とか昼間はフォトグラファー深夜はフェラーリで爆走するイシダ先生(袴田吉彦)の方が魅力的。
映像としての見せ場は湾岸でのスピードバトルにあるのですが、これがカーアクションとしては迫力がいまいち。追い越し場面は頑張っていると思うのですが、メーターばっかり230kmとか240kmを表示させていて、引いた映像や窓の外の風景の流れはとてもそんなスピードには見えません。公道だからせいぜい100kmくらいしか出せないのはわかりますが、もう少しスピード感を出せるように工夫して欲しいものです。
「悪魔のZ」の試走に付き合い携帯で話しながら余裕で付いていく功ちゃんの方が凄すぎかも。
歩道を歩くえりこを追って走ってきたアキオが右ハンドルのフェアレディZでは助手席側のはずの歩道側の窓から声をかけるシーン。ちょっとなんとかして欲しかった。
外科医がフラストレーションを発散するために夜は暴走族という設定は、まあいいんですが、この外科医、どうしてこんなに急患が入らないんだろ(一番最初のシーンだけ)。今度の水曜の夜とか言われて約束できる外科医って少ないんじゃないかと思うんですが。
(2009.9.19記)
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