◆たぶん週1エッセイ◆
映画「ベガスの恋に勝つルール」
キャメロン・ディアスがなおラブコメの主役を張れること自体感動的
パーティーのはしゃぎぶりの乗りのよさと同時に見えるもの悲しさ、喧嘩の際の畳み込むような台詞は、年輪を経ての魅力を感じる
主役2人よりも、その友人同士のティッパー(レイク・ベル)とスティーブ(ロブ・コードリー)の方がいいカップルかも
キャメロン・ディアス主演のラブコメ「ベガスの恋に勝つルール」を見てきました。
原題は”What Happens in Vegas”。”What happens in Vegas , stays in Vegas”(ラスベガスで起こることはラスベガスにとどまる:旅の恥はかきすてということ)から取ったタイトルです。この映画の場合はアメリカの言い回しのニュアンスが取りにくいので原題をそのまま訳してもわかりにくく、こういう日本語タイトルにするのは悪くないですね。
キャメロン・ディアスがまだラブコメの主役を張れるということ自体、感動的というか・・・。もちろん「メリーに首ったけ」の頃のようなキュートさやかまととぶりは見る影もありませんが、やはりあの笑顔は魅力的。パーティーのはしゃぎぶりの乗りのよさと同時に見えるもの悲しさ、喧嘩の際の畳み込むような台詞は、年輪を経ての魅力を感じます。冒頭、恋人から、セックスが激しすぎる、僕のアナルを開発してくれたことには感謝するけどそれ以外はもうへとへとなんだなんて友人多数の前で言われて振られるシーンなんて、この年齢なればこそですしね(こういう台詞があってもPG12とかの指定なしですね)。
恋人に振られたキャリアウーマン(映像から見る限り商品取引所のディーラーと思えます)で計画魔で仕切屋のジョイ(キャメロン・ディアス)と仕事をまじめにやらないために父親の会社(家具工場)を首になったジャック(アシュトン・カッチャー)がそれぞれ友人とともにラスベガスを訪れ、酔ってはしゃぎまくるうちに意気投合して勢いでその夜のうちに結婚式までしてしまいますが、目が覚めて後悔し、別れ際にスロットマシンに放り込んだ25セント硬貨がジャックポットで300万ドル大当たりして、互いに結婚の無効と300万ドルの所有権を主張して裁判をしたけど、裁判所から6ヶ月間結婚生活をうまく行かせる努力をした後でないと認めないと言われ、同居しながら互いにより有利な条件で離婚するために喧嘩と陰謀の日々を送るという設定のお話です。
ラブコメということ自体からおおかた結末は予測できますし、終盤のジョイの会社の保養所の夜のシーンからラストはほぼ予測できます。でも、ジョイが会社を辞めるのは、私には今ひとつ納得できません。ラストを先に決めてそこに持っていくための設定という感じもします。バリバリのキャリアウーマンとして設定したんだし、その前のひねりで啖呵を切る(態度としては啖呵を切るという感じではないですが)ことからするとむしろ仕事はきちんとするというか捨てないで欲しかったなと思います。
メインのストーリー以外にもいろいろ楽しめるところはありますが、ジョイの会社の社長(デニス・ファリナ)のいい加減さがすごい。ジョイと同僚のチョンの間で昇進を競わせるのですが、夫が(まじめで)気にくわないとかパーティー芸ができないとかで、昇進ができないと決められるチョン(東洋系!)がかわいそう。まぁチョンもジョイに昇進を譲られて遠慮も見せずかわいげないんですが(東洋系がそういうイメージで描かれてるのもちょっと・・・)。
見ていて不思議だったのは、解雇されて金がない、会社相手に裁判をしたいが弁護士費用もないというジャックがラスベガスに行って豪遊する費用とか部屋を改造する費用がどこから出てきたのか・・・
仕事がら、どうしてもそこに目が行ってしまいますが、この映画で出てくる弁護士と裁判官、どちらも変。ジャックの弁護士は、ジャックの友人のスティーブ(ロブ・コードリー)ですが、かなり言うこと無責任だしパーティーなんかではハメ外しすぎ。裁判官も法廷で自分の妻を焼き殺したい思いを語ったりしますし。アメリカの一般の人々は、弁護士や裁判官にこういう印象を持っているのでしょうか・・・。
メインストーリーが予想される結末を迎えた後、2カットおちゃらけシーンがありますが、これはジョイとジャックの話よりも、ジョイの友人のバーテンのティッパー(レイク・ベル)とジャックの友人の弁護士スティーブのその後のお話を示唆しています。私には、実は、この2人の方が、ジョイとジャックよりも意地っ張りで対立しながら、しかし意外といいカップルしてるように思えます。ラスベガスに行った友人組でジョイとジャックより先にHしちゃうみたいだし、それでもスティーブがティッパーに法廷で中指を立てた(FUCK YOU!のサイン)絵を示したりしながら、最後は楽しそうで。
さらにエンドロールの後に、ジョイに横恋慕する脇役のその後が示唆されています。特に楽しくもないカットですが(普通、何これ?と思うだけでしょう)。
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