◆たぶん週1エッセイ◆
映画「ピエロがお前を嘲笑う」
最後のどんでん返しとそこに至る作りが見どころの作品。
ベンヤミンとハンネの心理戦も見せ場と言えるが、引き気味の描写
天才ハッカーが殺人事件に巻き込まれるサスペンス映画「ピエロがお前を嘲笑う」を見てきました。
封切り2週目月曜日祝日、全国4館東京2館の上映館の1つ新宿武蔵野館3(84席)午前9時15分の上映は5割くらいの入り。
さえない学生のベンヤミン(トム・シリング)は、思いを寄せるマリ(ハンナー・ヘルツシュプルンク)のために、得意のハッキング能力を使って大学の試験問題を盗み出そうとするが捕まってしまう。刑罰として課された50日の社会奉仕(ゴミ拾い)の際に出会ったマックス(エリアス・ムバレク)は、ベンヤミンのハッキング能力を高く評価して仲間に入れ、友人のステファン(ボータン・ビルケ・メーリング)、パウル(アントニオ・モノー・Jr)とともにハッカー集団CLAY (Clowns Laughing At You=ピエロがお前を嘲笑う の略)を旗揚げし、さまざまなサーバーに侵入してネット上人気を博した。マックスは、マックスとベンヤミンの共通のネット上の師MRXの反応を待っていたが、長らく無視された挙げ句、別のハッカー集団 friends が評価され、CLAYは小物とされた。怒ったマックスは、ドイツ連邦情報局のサーバーのハッキングを計画、首尾よく成功するが、ベンヤミンがその際計画外の機密の職員情報を盗み出し、MRXに提供したところ、それによって friends に潜入したスパイとばれたクリスピーが殺害されてしまい…というお話。
売り文句が「この映画に仕掛けられたトリックは100%見破れない」「最後の最後で映画全てをひっくり返すほどのトリックに誰もがきっと騙されるに違いない。今話題の〈マインドファック〉ムービーの決定版」という映画で、最後のどんでん返しとそこに向けた作りが見どころになります。
確かに、ラストは予測できませんでしたが、同時にマリの言動など今ひとつスッキリ説明しきれてない感が残ります。
どんでん返し以外では、ベンヤミンと連邦情報局の捜査官ハンネ(トリーネ・ディアホルム)の心理戦が見せ場と言えますが、トリックを見抜かせないようにベンヤミンの心理描写は抑制的になっていますので、全体に引き気味の描写です。
(2015.9.21記)
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