たぶん週1エッセイ◆
映画「靖国」

 靖国神社をめぐるドキュメンタリー映画「靖国」を、今頃になってですが、見てきました。東京での上映は今日で最後なので、東京では最後に1館だけ上映を続けていたキネカ大森の最終回上映にムリムリ行ってきました。

 靖国神社のご神体が刀だということから(公式サイトの記事によると、靖国神社からご神体は「神剣及び神鏡」だから訂正して欲しいと申し入れがあったそうですが)、靖国神社に奉納する靖国刀を製造する刀匠の映像とインタビューを1つの柱にして、靖国神社の境内を行き来する人々の映像と戦前の記録映像で構成しています。
 刀匠のインタビューは、インタビュアーが片言の日本語で、刀匠の方も質問を聞き間違えたり答えもスムーズでなくて、どこかもたもたします。カットも長すぎる感じで、それに声なしの記録映像が続いたりすると、眠くなります。ちょっと睡眠不足が続いたこともあり、何度か不覚にも記憶が飛びました・・・。刀匠のおじいさんの表情やごつごつした手と刻まれたしわには味わいを感じたのですが。
 靖国神社での映像では、最初の方に現れる、小泉首相(の公式参拝)を支持するというプレートと星条旗を掲げるアメリカ人不動産ブローカーをめぐって、アメリカ人も支持していると持ち上げて賞賛しビラまきを手伝う人々と、靖国神社に星条旗を持ち込むなどもってのほかだと言ってアメリカ人は出ていけと怒鳴る人々の映像が印象的でした。靖国神社支持派の人々にもいろいろな思惑を感じさせ、ここは巧いなと思いました。
 その後は、靖国神社に合祀された台湾人軍人の遺族や浄土真宗遺族の合祀撤回要求、南京大虐殺を否定する署名を集める人々、式典に抗議して力づくで排除され顔面を血まみれにしながら抗議する反対派などの映像が続きます。このあたりは、どちらサイドも採り上げているというレベルで多面的でしょうけど、それぞれのテーマの構成は単純で、アメリカ人ブローカーの時ほどの工夫は感じられません。ドキュメンタリーだし材料がなきゃ作れないという制約があるのはわかりますが、映画としてのカット割りや進行にはもう少し見せる工夫が欲しいところ。2時間あまり集中して見続けるにはかなり自覚的な努力がいる映画だと思います。

 靖国神社での映像は、時期がわかるものはいずれも終戦60年と言っていますから、2005年夏(たぶん8月15日)の映像。そういうことからすると、2005年のうちか、せめて2006年前半には公開して欲しかったと思います。今頃、小泉首相の参拝の映像を見せられてもねぇ。

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