たぶん週1エッセイ◆
映画「横道世之介」
 大学時代の人のよい憎めない友人を振り返る青春映画「横道世之介」を見てきました。
 封切り10週目金曜日・GW後半4連休初日、シネ・リーブル池袋シアター1(180席)午前10時30分の上映は1〜2割の入り。

 1987年4月、法政大学経営学部に入学した横道世之介(高良健吾)は、入学式で隣り合った倉持(池松壮亮)・ガイダンスで隣り合った阿久津唯(朝倉あき)とともにサンバ同好会に入り、ホテルのボーイのアルバイトをしながらひょんなことから知り合った謎の年上女性千春(伊藤歩)に憧れ、そのことを相談したくて声をかけた同期生の加藤(綾野剛)に誘われたダブルデートで知り合った社長令嬢与謝野祥子(吉高由里子)と交際を始める。世間知らずで初心で天然呆けの祥子は世之介を気に入って夏休みには長崎の世之介の実家に押しかけるが…というお話。

 比較的純朴で飾り気がなくお人好しな青年の横道世之介が、友人たちと成り行きで過ごす学生生活の日々や初心な祥子との微笑ましい恋愛模様を描き、十数年後の友人たちが学生時代を振り返っておもしろいいい奴がいたよねと振り返り、こういう奴と学生時代に知り合えて得したなぁと思うという、ハートウォーミング・ノスタルジー青春映画です。
 世之介自身は、それほど特別の人という感じではなく、打算的なところや狡猾なイメージはないですが、どちらかというと普通の若者で、そのあたりが多くの人にとって、そんな奴いたよねと思えて共感しやすいところなのだと思います。
 私の目には、むしろ、世間知らずで天然な娘祥子の初心な恋愛事情がとても微笑ましく思えました。「蛇にピアス」の激しく執拗な濡れ場で脚光を浴びた吉高由里子がこんなにも可愛く初心に見せられるなんて、と女は/女優は?怖いと感じます(まぁそれを言ったら、「蛇にピアス」でその吉高由里子と激しい濡れ場を演じた相手役の高良健吾も、この作品ではおどおどと「キスしてもいいですか」なんて聞くようなブリッ子ぶりですから、お互い様ではありますが)。
 2人の微笑ましい関係、特に祥子の世之介へのまっすぐな思いがまぶしいくらいだっただけに、世之介と祥子がどういう事情で別れるに至ったかがスルーされているのが残念です。

 公式サイトのプロダクションノートのページに掲載されている写真を見ると、クライマックスともいえる世之介と祥子のクリスマスイヴ、積雪の夜のラブシーンは昼間に撮影したようです。それを加工して夜のシーンに見せているということなのでしょう。技術の進歩はめざましいということなんでしょうけれども、なんだかちょっとがっかりしてしまいました。

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