たぶん週1エッセイ◆
映画「余命1ヵ月の花嫁」

 乳癌で余命1ヵ月と宣告されたイベントコンパニオンと恋人の愛情を描いた映画「余命1ヵ月の花嫁」を見てきました。
 封切り1週目の週末、レッドクリフもコナンも抜いて興行成績1位、2週目も2位だったはずですが、3週目日曜日、雨のためかガラガラでした。

 イベント会場で知り合ったイベントコンパニオン千恵(榮倉奈々)とIT企業社員太郎(瑛太)でしたが、千恵は出会いの後乳癌と判明、抗癌剤治療を続けながらそれを隠して太郎との交際を受け入れます。しかし、抗癌剤では対応できず手術が必要となって、千恵は太郎に癌を告白し、別れを告げて父親(柄本明)に見守られながら手術を受け、かつて太郎が話していた屋久島に旅立ちます。屋久島で千恵を見つけた太郎は、変わらぬ愛を誓い千恵と再び同居を始めます。幸せな毎日を送る2人でしたが、千恵の癌が再発し骨に転移し、主治医は太郎らに千恵の余命はせいぜい1ヵ月と宣告、太郎は病院に泊まり込んで千恵を励まし、結婚式を挙げ・・・というお話。
 登場人物の名前も含め、実話だそうです。

 コンセプトが極めてはっきりしていて、ストーリーもシンプルで、予想外のことは1つも起こらず、予定調和的に感動できる映画です。
 実話をベースにした作品だからか、「余命1ヵ月」ではそんな余裕もないのか、入院後の千恵と太郎の間には喧嘩もありません。登場人物は全員いい人ばかりです。
 人間の裏側や葛藤の描写、ひねり・ハプニング、ましてや「衝撃の結末」を期待する人には不向きです。

 予告編にも出てくる、屋久島での再会で「太郎ちゃんは変わっちゃうかも知れない」という千恵の発言は、言われる側には厳しく切ない。まぁ、その前の太郎の「千恵が千恵のままでいたら、それでいい」という千恵は変わらないでくれという趣旨の発言があるからですけど。日々の状況に対応して変化しながらも「一緒に生きよう」というメッセージでは足りないでしょうか。それに、変わっちゃう「かも知れない」って言ったら、まじめに考えれば考えるほど、「可能性もない」なんて言えないわけで、だから一緒に暮らせないというのは・・・

 千恵の父親と叔母、太郎に千恵の余命を宣告する主治医の台詞が、すごい棒読みなのは、ちょっとなんとかして欲しい。他の役者がみんな熱演してるだけに、目につきました。
 かつて千恵が見とれていた婚約指輪を探して雨の街を走り回る太郎。ビニール傘を握りしめながら差さずに走り続けるのはなぜ?土砂降りの雨の中を走らせるなら、病院に戻ってきたら髪や服から雫ぐらい垂らして欲しいと思いました。

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