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たぶん週1エッセイ◆
岩手県立美術館 萬鐵五郎展示室
ここがポイント
 萬鐵五郎って、下手な画家だと思っていたが、人物も静物も風景もちゃんと描けるんだと再認識した
 美術館の姿勢もいい感じがする
    
 書面の提出期限に追われていない週末、今度は岩手県立美術館に行ってきました。ガイドブックに掲載されている建物の写真がきれいだったので。

 このエントランスの階段を上って2階に常設展示室、萬鐵五郎展示室、松本竣介・舟越保武展示室があります。今回の目玉は、萬鐵五郎です。
 私は、萬鐵五郎って、下手な画家だと思っていたんです。代表作の「裸体美人」って、国立近代美術館でほぼ常時展示している(近美の所蔵なので:近美の重文紹介ページ6番目に掲載されています)んですが、これが下手な漫画みたいな絵で、どうしてこれが重要文化財に指定されたんだろう、どうしてこれを誉め讃える人がいるんだろうって、ずっと思っていたんです。
 しかし、岩手県立美術館で、今回、萬鐵五郎展示室に展示されている作品を見ると、なんだ、人物も、静物も、風景も、ちゃんと描けるんじゃないと、思いました。まぁ、そうじゃなきゃ、東京芸大(当時は東京美術学校)入れないですよね。
 時期により「自画像」が変遷していくのを見ると、最初は写実的に描き、さまざまな実験(点描とかキュビズムとか)をしていく過程がよくわかります。岩手県立美術館の所蔵作品検索から拾うと、自画像(1908年)点描風の自画像(1912年)雲のある自画像(1912−3年)赤い目の自画像(1913年)自画像(1915年)自画像(1915年)
 そういうことからすれば、私には下手な漫画に見える絵も、あくまでも意図的なそういう試みということですね。それにしても、私にはやはりそれが価値あるものには見えませんが。
 今回の展示では、無名の作品ですが、「地震の印象」という関東大震災を題材にしたと見られる(制作年も1924年:関東大震災の翌年ですしね)作品が、印象に残りました。
 岩手県立美術館は、所蔵作品検索で調べると萬鐵五郎作品を823点所蔵しているようです。この検索、全点の画像付きです。展示室でも写真撮影自由(フラッシュは使うなとのことですが)でしたし、太っ腹ですね。今回の展示は43点でしたが、スケッチや習作で点数を稼いでるという感じではなく、所蔵品のうち主なものは展示しようという姿勢に見えます。
 萬鐵五郎についても、美術館の姿勢についても、いい感じの経験をしました。 
(2022.1.24記)

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