たぶん週1エッセイ◆
暑中お見舞い申し上げます
 暑い日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。
 私にとって、2005年の夏は、柏崎原発訴訟の控訴審(東京高裁)判決がいつ指定されるか、待ちの夏。
 仙台高裁でやっている六ヶ所村ウラン濃縮工場の裁判の控訴審の最終準備書面を書く夏。
 青森地裁の六ヶ所村再処理工場の裁判でも私の担当の臨界事故問題の宿題を抱えた夏・・・
 とはいえ、夏に仕事をし過ぎるのもまた考えものです。
 体のためにも、原発なしの優しい社会に向けても、夏は休んだ方がよさそうです。
 世間ではもう忘れられているかも知れませんが、2002年、東京電力をはじめとする電力会社が原発の割れが見つかっていたのに割れはないと嘘の報告をしていたり、定期検査で不正をやって合格させていたことが発覚し、中部電力や東京電力で、2002年から2003年にかけて一時、すべての原発が止まったことがありました。その時、夏の最大電力を原発なしではこなせないといって東京電力は強引に運転再開し、今では何事もなかったかのように原発を運転しています。
 しかし、その2003年夏、東京電力が発表していた最大電力と東京の最高気温に関するデータを見ると、多くの人が夏休みを取れば、最大電力は原発なしでも供給できるレベルだということがわかりました。2003年夏(6月23日から9月12日まで)の東京の最高気温と東京電力管内の最大電力は下のグラフの通りでした(東京電力は、残念ながら、翌年からこのデータの公表をしていないようです)。
 2003年夏、東京電力の原発なしでの電力供給能力は、約5700万kWとされていました。遊休施設を稼働させればもう少し可能だったと思いますが、まあ、そのあたりとしておきましょう。
 横軸が東京の最高気温で、単位は℃です。縦軸はその日の東京電力管内の最大電力です。「5.5」は5500万kWです。
 このグラフで■は平日です。平日の場合、最高気温が30℃を超えると最大電力が5000万kW程度、32℃を超えると5500万kW程度に達しています。これだと、少し暑くなると、原発なしでは足りなくなります(それでも、そんなにたくさんいるわけじゃないけど)。しかし、▲で示されている土日は同じ気温でも最大電力が全然違います。土日は30℃を超えても4500万kW以下、4500万kWを超えたのは最高気温が34℃台に達した2日間だけで、それでも5000万kWには達しませんでした。
 これを見ると、夏の暑い時期に、通常の企業が休みを取れば、真夏の暑い日でも最大電力は原発なしで供給できる水準となることがわかります。日本の夏の土日は、ヨーロッパのバカンスとは違い、商店は開いていますしレジャー施設はガンガン冷房をかけて営業しています。それでも相当暑くなっても最大電力はこの程度の水準です。ヨーロッパのバカンス並みでなくても、相当程度の企業が長期の休暇を交代で取ればいいのです。
 ヨーロッパより暑い日本で、真夏にも働き続ける日本人のワーカホリックを、ヨーロッパのバカンスより少し遠慮がちでもいいからもっと休めるように直すだけでも、ずいぶんと違ってくると思います。
 夏は、少しでも長く、休みましょう。
 2005年夏(2005.8.5)

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