庶民の弁護士 伊東良徳のサイト

たぶん週1エッセイ◆
「頼りになるいい弁護士 実力派」という紹介は金で買うものか
ここがポイント
 広告枠を買った弁護士を『頼りになるいい弁護士 実力派』などというタイトルで紹介していいのだろうか
 (どう『頼りに』なって、どう『実力派』なんだか…)
 同種の弁護士紹介サイトも多数乱立しているが、報道機関の一翼を担うものがそういうことをやっていいのか
 2019年2月2日、『週刊新潮』ゴールデンウィーク合併号(2019年4月24日発売)に『頼りになるいい弁護士 実力派』という『スペシャルインタビュー』を掲載しないかという広告勧誘のDMが、私宛に送られてきました。

 もちろん、名刺広告とかじゃなくて、インタビューですから、記事の体裁で、掲載されるわけです。サンプルとして入っていた掲載例はこんな感じです。(このサンプルには、実在する事務所・弁護士名が書かれていますが、この企画を担当している広告会社のサイトにもそのまま掲載されていますので、そのままご紹介しておきます)

 ページの上部欄外には「PR」という記載はありますが、ふつうの読者は、記事というか、当然、週刊誌として取材して書かれたものと受け取る可能性が高いように思えます。
 その記事は、1ページの記事で制作費20万円、掲載料70万円の合計90万円(消費税別途)、2ページの記事だと制作費25万円、掲載料140万円の合計165万円(消費税別途)で買うのだそうです。

 タイアップ広告自体は、よくある話ではあるのですが、そのタイトルも『頼りになるいい弁護士 実力派』って、ふつうの読者からしたら、週刊誌が自分の責任で頼りになる弁護士を選別評価して取り上げているように見えるものを、広告枠として売りつけるというのは、私には、ちょっとひどいんじゃないかと思えます。
 弁護士側も、『頼りになるいい弁護士 実力派』なんて紹介を金で買うということに気が咎めないのか。
 近年、司法試験の合格者を大幅に増やして弁護士を増やした結果ということなんでしょうけれども、弁護士向けに同様の弁護士紹介サイトに有料で登録するよう勧誘するメールなどが頻繁に送られてきます。ネット上、そういう同様に無責任にただ広告料を支払った弁護士を何か専門性があるとか優良な弁護士であるように紹介掲載するサイトがあふれていることが、そういうメール等でよくわかります。
 しかし、そういう有象無象の弁護士紹介サイトの類いはさておいても、かりそめにも報道機関の一翼を担う週刊誌がそういうことに手を染めていいのか、私は強く疑問に思います。
 2019年4月24日発売の『週刊新潮』のゴールデンウィーク合併号には、1ページを90万円(消費税別途)で、あるいは2ページを165万円(消費税別途)で購入した『実力派』の『頼りになるいい弁護士』たちが、立ち並ぶことになります。嫌な時代になったものだと思います。
【追記】
 記事を書いた後、『週刊新潮』なんてふだん全然関心がないので気にしてなかったんですが、ああそういえばどうなったかなぁなんてチェックしてみたら、5月2日・9日合併号、『頼りになるいい弁護士 実力派』の広告記事は掲載されていませんでした。代わりにあったのはPR『シリーズ実力病院』と、『地域社会に貢献する成長会社2019』とかいう広告企画(広告特集を2本もやるんだ)。弁護士の応募が集まらなかったのか、弁護士より儲かる業界にシフトしたのか。弁護士の方でこういう広告は良心が咎めるということで誰も応募しなかったのなら、いいんですけどねぇ。
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(2019.2.2記、5.18追記)

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