◆子どもにもわかる裁判の話◆
裁判(さいばん)というものがあるわけ
みんなの間でもめごとがあったら、どうやって解決するかな?
たとえばの話。ロングボトムくんは魔女(まじょ)アグリッパカードを持っていた。ウィーズリーくんは、それが欲しくてたまらなかったので、ロングボトムくんに魔女モルガナカードをあげるから代わりに魔女アグリッパカードをちょうだいといった。ロングボトムくんは、いいよといってその場でウィーズリーくんから魔女モルガナカードをもらった。ところがロングボトムくんは、その後、友達から魔女アグリッパカードが珍しいことを聞いて、やっぱりあげたくないと思った。そこへゴイルくんがやってきて、「ロングボトム、いいもの持ってるじゃないか」といってロングボトムくんが持っていた魔女モルガナカードを取り上げて行ってしまった。ウィーズリーくんはロングボトムくんに早く約束通りに魔女アグリッパカードをちょうだいというけど、ロングボトムくんはいやだという。ウィーズリーくんが、じゃあ魔女モルガナのカードを返してくれといったら、ロングボトムくんは、それはゴイル君にいってくれという。2人で話し合ってもどちらもゆずらない。そのうちけんかになってしまい、2人はおたがいに顔も見たくないといいだしてしまった。
さあ、どうしたらいいだろう。(もちろん、もっと深刻(しんこく)な例(れい)を考えてもいいよ)
もめごとの当事者(とうじしゃ)の2人が話し合っても解決(かいけつ)できなかったり、もう話し合いもできないということになると、当事者でないだれか(第三者というね)にきめてもらうということになるね。みんななら、だれにどうやって決めてもらうかな。学校の先生が決める。学級会で話し合う。そういうやり方はあるね。
でも友達どうしのもめごとなら、それでいいけど、もめごとはよその学校の生徒との間で起こるかも知れないし、知らない大人との間で起こるかも知れない。そういうとき、例えばウィーズリーくんの通う学校の先生が決めるとしたら、相手の人は、先生はウィーズリーくんにひいきするだろうと思うから、それでは納得(なっとく)できないね。
そうすると社会でのルールとしてもめごとの解決の仕方を決めるとなると、だれとだれの間でもめごとが起こっても公平な立場で決めることができるような人を用意しておく必要があるね。そのためにいるのが「裁判官(さいばんかん)」なんだ。
さて、第三者に決めてもらうとしても、片方がいつまでもその決めたことに従わないと、もめごとは解決しないね。そこで、決めたことには従ってもらうということにしないといけない。
でも、やっぱりそのためには、できるだけもめごとの当事者が、納得できるようなやり方をしなきゃならないね。ウィーズリーくんやロングボトムくんは自分の言い分を聞かないで決められたら納得できないし、証拠もないのに「こういうことをした」と決めつけられたらたまらないよね。それに解決の仕方がその時その時でめちゃくちゃだったら、例えば、前にグレンジャーさんとパーキンソンさんの間で同じことがあったときとは反対の結果だったら、何かよほどの理由がないと我慢する方は納得できないよね。
それを考えると、もめごとを解決するときのルールとして、当事者の言い分をよく聞く、どういうことがあったかは証拠を見て判断する、解決の仕方は同じもめごとの時は同じように決めておく、決めていなかったときはきちんとその理由を説明するということが大事だね。そういうやり方でもめごとを解決するためにあるのが「裁判(さいばん)」というしくみなんだ。
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