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短くわかる民事裁判◆
判決の言い渡し:ふつうの事件では
 民事裁判の判決は、当事者(原告、被告)やその代理人(弁護士)が出席しなくても言い渡すことができますし、主文のみを朗読すればよく、理由や理由の要旨を読み上げる必要はありません(読み上げたり口頭で説明しても構わないのですが)ので、法廷に判決を聞きに行っても主文しか告げられません。
 判決の主文だけ知りたいのなら、判決の言い渡し時刻以降に裁判所の担当部に電話して聞けば教えてくれます。
 そういった事情もあり、ふつうの事件では、当事者も代理人も判決期日には法廷に行かないのが通例です。
 私が弁護士になった頃(1980年代半ば)は、裁判所も当事者が法廷に判決を聞きに来たときのために判決正本(はんけつせいほん)を準備していて、法廷で判決正本を受け取れることが多かったと記憶していますが、近年は、法廷では受け取れなくて、判決正本は書記官室に取りに来てくれと言われます。私は、昔は、基本的に判決は法廷に聞きに行っていたのですが、近年は行かなくなりました。

 東京地裁の場合、午後の法廷の最初の時間帯(部・係により午後1時とか午後1時10分とか午後1時15分とか)に判決期日が集中して指定され、同じ時間帯に口頭弁論期日が指定されている事件の当事者(ほとんどの場合その代理人の弁護士)が傍聴席(ぼうちょうせき)で待っている前で、連続して主文だけが読み上げられていきます。私が近年判決言渡を聞くのは、そういう形で、別事件の期日に法廷に行って、その時間帯に言渡期日が指定されている他人の判決の言渡を聞くということばかりです。

刑事裁判の場合は、判決言渡は被告人が在廷して行われ、裁判官は主文だけではなく、認定した犯罪事実や量刑理由などを比較的詳しく説明します。ある意味で、被告人に言い聞かせるというか納得させるために判決を言い渡しているのですし、実は刑事裁判の場合言渡時点では判決書ができあがっている必要がなく、実際できていないことが多いので、口頭では説明しないで判決書を渡すということが現実にはできないという事情もあります。

 判決については、モバイル新館のもばいる 「弁論の終結と判決」でも説明しています。
 

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