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短くわかる民事裁判◆
判決の確定(原則)
 勝訴判決があった場合、金銭の支払い命令などで仮執行宣言がついているものは、判決後すぐに(判決が確定しなくても)強制執行ができますが、登記を命じる判決や解雇事件などで労働者として権利を有する地位にあることを確認する判決など仮執行宣言をつけられない判決は確定して初めて法的な効果があります。

 民事訴訟法は、判決は控訴もしくは上告の提起(特別上告:高裁が上告審として行った判決に対する憲法違反を理由とする最高裁への上告を除く)、上告受理申立て、手形訴訟判決に対する異議の申立て、少額訴訟判決に対する異議の申立てについて定めた期間の満了前には、確定しないものとする(民事訴訟法第116条第1項)、「判決の確定は、前項の期間内にした控訴の提起、同項の上告の提起又は同項の申立てにより、遮断される。」(同条第2項)と定めています。(手形訴訟、少額訴訟は置いて)要するに控訴・上告ができる間と、控訴・上告がされた場合はそれが終了するまでは確定しないということです。

 では、控訴や上告がされなかった場合はいつ確定するでしょうか。
 控訴期間・上告期間は、判決書が各当事者に送達された日から2週間です。この期間は当事者に判決書が送達された日によってそれぞれに定まりますので、どちらも控訴・上告をしなかった場合は、遅い方の控訴期間・上告期間が経過したときに判決が確定します。
 確定証明書(の申請書)には、令和○年○月○日の経過により確定したことを証明(してください)と書くのがふつうです。

 控訴・上告された場合はいつ確定するでしょうか。
 上告審の判決、最高裁の上告却下決定(民事訴訟法第317条第2項)に対しては上訴ができない(高裁の上告棄却判決に対して特別上告はできますが、確定遮断効はありません:民事訴訟法第116条括弧書き)ので、破棄差し戻し判決の場合(この場合はさらに差し戻し審がありますので確定しません)以外は、判決、上告却下決定が効力を生じたときに確定すると解されます。
 判決の場合は、言い渡しによってその効力を生じます(民事訴訟法第250条)ので、上告審の判決は言い渡しの日に確定することになります。
 決定の場合は告知によってその効力を生じます(民事訴訟法第119条)ので、最高裁の上告棄却・不受理決定は決定書の配達日、当事者によりその日が違うときは遅い方の日が確定日になると解されます(明確に書かれている文献を見つけられませんでしたが、理屈はそうなると思います)。

 判決については、モバイル新館のもばいる 「弁論の終結と判決」でも説明しています。

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