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抗告許可申立ての費用

新法適用事件と旧法適用事件

 許可抗告(抗告許可申立て)を含む抗告(裁判所の「決定」に対する不服申立て)についても、民事訴訟法改正(IT化)の新法適用事件では裁判所のシステム(当面mints。裁判所は2027年度中にTreeeSに移行するとアナウンスしています)を利用した電子申立てが可能になり、依頼を受けた弁護士等は電子申立てをすることを義務付けられ、手数料は一本化されて郵券の予納はなくなり、全額を現金(ペイジー)で支払うことになります。
 他方、旧法適用事件では電子申立てはできず、手数料は原則として印紙で納付し、手数料と別に各裁判所が定める額と組み合わせの郵券を予納することになります。
 この抗告事件について新法適用事件なのか旧法適用事件なのかの判断は、抗告の対象となる決定ではなく、最初の申立ての日を基準とする(最初の申立てが2026年5月20日以前なら旧法適用事件、2026年5月21日以降なら新法適用事件)と説明されるのがふつうです。これは、「訴えに係る事件であって施行日以後に提起されるもの」を新法適用事件とする民事訴訟法改正附則第2条の解釈としてそう考えられています。決定や抗告が問題となる申立てはふつうは「訴え」ではないので、条文から当然そうだとも言い難いように見えますが。
 決定や抗告が問題になる場面というか、その最初の申立ては、訴え(基本事件)に関連してなされる、訴訟救助申立てとか、移送申立てとか、裁判官忌避申立てとか、文書提出命令の申立てなどが多いと思うのですが、基本事件が2026年5月20日以前に提起された旧法適用事件(事件記録は紙ベース)のときに、そういう付随的な申立て(関連事件)を2026年5月21日以降にする場合、電子申立てできるのでしょうか。これも民事訴訟法の規定上明確ではなく、裁判所の運用がどうなるのか、見定める必要があると思います。
 基本事件が旧法適用事件なら付随的な申立ては電子申立てできないとすれば、抗告事件の新法適用の基準は、よく言われるような原審事件の申立て日ではなくて、基本事件の新法適用の有無なり訴え提起日ということになってしまいます。
 抗告事件の新法適用の基準は、民事訴訟法の条文上明確とは言えず、いろいろ考慮事項がありそうで、簡単ではないと思います。弁護士としては、裁判所の運用が固まっていくのを見てそれに合わせるということになるでしょう。

新法適用事件の抗告許可申立ての手数料

 新法適用事件となる抗告許可申立ての手数料は、紙ベースの申立ての場合は3000円、電子申立ての場合は1900円です(民事訴訟費用法第3条第2項、別表第二 15項)。
 抗告許可申立てと特別抗告を同時に申し立てた場合、一方の分だけ納めれば足ります(民事訴訟費用法第3条第4項後段)。上告と上告受理申立てを同時に行った場合(同項前段)と同じ扱いです。

 新法適用事件では、抗告提起手数料は全額を現金(ペイジー)払いし(民事訴訟費用法第8条第1項)、郵券の予納は不要です。

旧法適用事件の抗告許可申立ての手数料等

 旧法適用事件となる抗告許可申立ての手数料は1000円です(民事訴訟費用法第3条第1項、別表第一18項(4))。
 旧法適用事件では、抗告提起手数料は原則として印紙で納付し(民事訴訟費用法第8条第2項)、それと別に各裁判所が定める額と組み合わせの郵券を予納します。この予納郵券の定めは裁判所ごとにまちまちです。

 東京高裁の場合、当事者1名(共通の代理人がついている場合は複数でも1名とカウント。以下各高裁につき同じ)の場合(相手方がない場合)、3000円(500円2枚、350円2枚、110円5枚、100円4枚、20円10枚、10円15枚)、当事者1名増加ごとに3000円(同じ組み合わせ)追加となります。特別抗告とともにするときは、抗告許可申立てと特別抗告で別々に同じだけの郵券の予納が必要です。現金の場合も金額は同じです。→東京高裁の予納郵券一覧表
 名古屋高裁の場合、当事者1名の場合(相手方がない場合)、3200円(500円4枚、350円1枚、110円6枚、20円6枚、10円7枚)、当事者2名の場合(相手方がある場合あるいは共通の代理人なく申立人2名の場合)、5200円(500円6枚、350円2枚、110円11枚、20円9枚、10円11枚)、さらに当事者が増えるときは当事者1名増加ごとに3200円(500円4枚、350円1枚、110円6枚、20円6枚、10円7枚)追加となります。特別抗告とともにするときは、1220円(500円2枚、110円2枚)を追加します。現金の場合も金額は同じです。→名古屋高裁の予納郵券一覧表
 広島高裁の場合、当事者1名の場合、3140円(500円4枚、350円1枚、110円2枚、100円4枚、20円6枚、10円5枚)、当事者1名増加ごとに1920円(500円2枚、350円1枚、110円2枚、100円2枚、20円5枚、10円5枚)追加となります。特別抗告とともにするときの説明は見当たりません。現金の場合、当事者1名の場合3200円、当事者1名追加ごとに1900円追加となります。→広島高裁の予納郵券一覧表
 福岡高裁の場合、申立人・相手方がそれぞれ1名の場合、6200円(500円8枚、350円2枚、100円10枚、50円4枚、20円10枚、10円10枚)、当事者1名増加ごとに3400円(500円4枚、350円1枚、100円6枚、50円3枚、20円10枚、10円10枚)追加となります。特別抗告とともにするときの説明は見当たりません。現金の場合も金額は同じです。→福岡高裁の予納郵券一覧表
 札幌高裁の場合、当事者が1名の場合(相手方がない場合)、3140円(500円4枚、350円1枚、110円6枚、20円4枚、10円5枚)、当事者2名の場合(相手方がある場合あるいは共通の代理人なく申立人2名の場合)、5060円(500円6枚、350円2枚、110円10枚、20円8枚、10円10枚)、さらに当事者が増えるときは当事者1名増加ごとに3140円(500円4枚、350円1枚、110円6枚、20円4枚、10円5枚)追加となります。特別抗告とともにするときの説明は見当たりません。現金の場合、当事者1名の場合4000円、当事者1名追加ごとに2000円追加となります。→札幌高裁の予納郵券一覧表
 仙台高裁の場合、当事者が1名の場合(相手方がない場合)、3000円(500円3枚、270円4枚、110円2枚、40円2枚、20円4枚、10円4枚)、当事者1名追加ごとに3000円(組み合わせは同じ)を追加、特別抗告とともにするときは、2組(2倍)予納、現金の場合も金額は同じです。→仙台高裁の予納郵券一覧表
 高松高裁の場合、当事者が1名の場合(相手方がない場合)、2500円(500円2枚、350円1枚、110円6枚、100円3枚、20円6枚、10円7枚)、当事者1名追加ごとに2500円(組み合わせは同じ)を追加、特別抗告とともにするときは、当事者が1名の場合、合わせて3600円(500円4枚、350円1枚、110円6枚、100円4枚、20円6枚、10円7枚)、当事者1名追加ごとに2500円(500円2枚、350円1枚、110円6枚、100円3枚、20円6枚、10円7枚)を追加、現金の場合も金額は同じです。→高松高裁の予納郵券一覧表

 大阪高裁については、裁判所のサイト上、抗告許可申立ての予納郵券の掲載を、私は見つけられませんでした。
(2025.1.26作成、最終更新2026.9.4)

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