◆短くわかる民事裁判◆
控訴状の必要的記載事項
控訴状に記載しなければならないと民事訴訟法が定めている事項は、当事者及び法定代理人、第1審判決の表示、その判決に対し控訴する旨です(民事訴訟法第286条第2項)。
訴状(1審)には、当事者及び法定代理人と請求の趣旨及び原因を記載することが求められています(民事訴訟法第133条第2項)。控訴で請求の趣旨及び原因に対応するのは控訴の趣旨と控訴理由になるはずですが、その記載は求められていません。また、控訴提起手数料と控訴審の審理及び判決の範囲の基準となる「不服の限度」の記載も求められていません。
ふつうは、控訴の趣旨は控訴状に記載しますし、不服の限度(範囲)も控訴状に記載しますけど(控訴理由は、なまじ記載すると50日間の控訴理由書提出期限を待ってくれないリスクがありますので、記載しないのがふつうですが)。
控訴状の審査、補正命令、控訴状却下命令は控訴裁判所の裁判長の権限(民事訴訟法第288条)ですから、控訴状に必要的記載事項の記載がない場合、記載が不適切な場合でも、第1審裁判所による控訴の却下決定(民事訴訟法第287条)の対象にはならないと解されます。
控訴状の場合、必要的記載事項が少なく、また機械的形式的なものばかりなので、控訴状の記載の不備ということはほとんどないと思いますが、もし記載に不備がある場合は、控訴裁判所に事件記録が到達した(東京地裁での実務経験上は、控訴してから約1か月後あたりが多いです)、後で控訴裁判所から、補正の依頼、補正命令が来ることになります。
控訴については「控訴の話(民事裁判)」でも説明しています。
モバイル新館の「控訴(民事裁判)」でも説明しています。
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