◆短くわかる民事裁判◆
控訴審口頭弁論期日の双方欠席:控訴取下げ擬制
控訴審の口頭弁論期日に当事者(控訴人・被控訴人)双方が欠席した場合どうなるでしょうか。
民事訴訟法第263条は、「当事者双方が、口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日に出頭せず、又は弁論若しくは弁論準備手続における申述をしないで退廷若しくは退席をした場合において、一月以内に期日指定の申立てをしないときは、訴えの取下げがあったものとみなす。当事者双方が、連続して二回、口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日に出頭せず、又は弁論若しくは弁論準備手続における申述をしないで退廷若しくは退席をしたときも、同様とする。」と定めています。1度目の双方欠席で裁判所が次回期日を指定しない場合(実務上は「休止(きゅうし)」と呼んでいます)、それから1か月以内に当事者が期日指定の申立をしなければ訴えの取下があったものとみなされ(実務上はこの場合を「休止満了(きゅうしまんりょう)」と呼んでいます)、期日指定がなされて(裁判所が休止にしないで期日指定をした場合も、当事者の申立により期日指定した場合もあり得ます)その期日も双方が欠席した場合は直ちに訴えの取下があったものとみなされるということです。双方が裁判所に来なかった場合に限らず、裁判所に来たけれども弁論等をしないで退席した場合も同じです。口頭弁論期日に原告が欠席して被告が出席した場合、被告が原告が来ていないなら帰るということで退席すれば休止になりますので、裁判所側が被告にそれを示唆して帰すということもあります(私が事件の順番待ちをしているときに別事件でそうしているのを目撃したこともあります)。
なお、最高裁2023年9月27日第三小法廷決定は、裁判所が2度目の双方欠席の後に期日指定をした場合であっても訴えの取下があったものとみなされるとしています。つまり、1度目の双方欠席で裁判所が休止扱いして期日指定をしないかそうせずに期日指定するかは自由だが、2度目(2回連続で)の双方欠席の場合は直ちに訴えの取下があったと法律上みなされるのであり、(これに反して)裁判所が期日指定をした場合でも、訴えの取下があったとみなされていることに変わりはないというのです。
控訴審での双方の欠席について、民事訴訟法第292条第2項は、上で紹介している民事訴訟法第263条を「控訴の取下について準用する。」としています。
その結果、口頭弁論期日に双方が欠席して裁判所が休止扱い(期日指定しない)し当事者が1か月以内に期日指定申立をしないか、(裁判所が期日指定した)次の期日にも連続して双方が欠席した場合は、控訴の取下があったものとみなされます。双方が欠席しているのですから1審原告も訴訟追行に不熱心であるわけですが、訴えの取下があったとみなされるわけではありません。
控訴については「控訴の話(民事裁判)」でも説明しています。
モバイル新館の「控訴(民事裁判)」でも説明しています。
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