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短くわかる民事裁判◆
訴訟行為の追完:勤務弁護士の正本受領
 判決正本を代理人(弁護士)の事務所の勤務弁護士や事務員が裁判所で書記官から受領し、そのことを代理人弁護士に報告し忘れていて代理人弁護士が判決正本の受送達を知らなかったために控訴期間を徒過したという場合、控訴人の責めに帰することができない事由によるものとして控訴が適法とされるでしょうか、どのような場合に適法とされるでしょうか。

 上告の事案ですが、1950年12月28日に言い渡された高裁判決について、代理人弁護士と同じ事務所の勤務弁護士が、同日中に、代理人弁護士の記名押印した送達報告書を裁判所に持参して、書記官から判決正本を受領したが、それを代理人弁護士に知らせずにいて、上告期間を徒過し、その後1951年1月20日に上告状を提出したという事案で、最高裁1952年8月22日第二小法廷判決は、「本件上告期間の徒過は民訴159条にいわゆる『当事者が其の責に帰すべからざる事由により不変期間を遵守すること能わざりし場合』にはあたらないと解すべく、従つて追完は許されないものといわねばならない。」としました。

 やはり、勤務弁護士や事務員の行為については自己の行為同然の評価を受けるでしょうし、そこは、訴状や判決を同居人や従業員が受け取ったという場合と同様に考えることになるでしょう。
 それに、そもそも自分が担当している事件なんだから判決期日くらい把握してなきゃいけないし、判決正本が来なかったらどうしてかと確認しなきゃならないので、その点から見ても、過失がないとはとてもいえないでしょうね。

控訴については「控訴の話(民事裁判)」でも説明しています。
モバイル新館のもばいる 「控訴(民事裁判)」でも説明しています。

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