◆短くわかる民事裁判◆
控訴状の送達
控訴状は、被控訴人に送達しなければならず(民事訴訟法第289条第1項)、控訴状の送達は、控訴提起時に控訴人が裁判所に提出した副本によって行うこととされています(民事訴訟規則第179条第58条第1項)。控訴状副本の送達は控訴裁判所が行います(控訴状の審査権限が控訴裁判所裁判長にあること、控訴状の送達費用の納付を命じる権限が控訴裁判所裁判長にあること:民事訴訟法第288条、第289条第2項はそれを前提としています)。
控訴状の必要的記載事項は当事者及び法定代理人と第1審判決の表示とそれに対して控訴する旨だけで、控訴理由は書いてもかまわないけれどもそれは書かないのがふつうです。
また、控訴されたこと自体は、それ以前に、第1審判決が確定したかどうかを第1審裁判所に問い合わせたときには、被控訴人にわかります。
したがって、控訴状が送達される段階で、被控訴人が控訴状で新たな情報を知るということは、ふつうありません。ふつうは、被控訴人にとって、控訴状はもう見ても見なくてもかまわない書類です。
控訴裁判所は、被控訴人側への進行についての意見照会での被控訴人側の回答に従って訴状を郵送で送達するか、被控訴人代理人(弁護士)(事務所の事務員)が裁判所に訴訟委任状を持って取りに来れば渡すかします。
被控訴人の代理人としては、一応、控訴状に控訴理由が記載されていたり、一部控訴だったり、訴えの変更があったり(通常は、別途訴えの変更申立書が提出され、それも控訴状と一緒に送達等されます)、その他特別な記載がないかは見ますが、そういう記載がない限り、控訴状には特段の注意を払わないのがふつうです。
控訴については「控訴の話(民事裁判)」でも説明しています。
モバイル新館の「控訴(民事裁判)」でも説明しています。
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