◆短くわかる民事裁判◆
控訴裁判所の事件受理
控訴の提起があり、第1審裁判所が訴訟記録を整理して控訴裁判所に送付すると、控訴裁判所は民事受付で控訴事件として、控訴裁判所が高等裁判所の場合事件記録符号(ネ)の、地方裁判所の場合事件記録符号(レ)の事件番号を振って、事務分配に従って担当部を決めて、担当部に記録を回します。
1999年度書記官実務研究報告書「民事上訴審の手続と書記官事務の研究」2019年補訂版によれば、
1999年7月実施のアンケート結果では支部を含む高等裁判所の半数の庁では、訴訟記録到着時に受付から、控訴人または控訴人代理人に対し、控訴事件の事件番号及び控訴理由書の提出期限を、ファクシミリで送信または普通郵便で送付しているそうです(同103ページ)。そういうことですので、私は経験していませんが、全国的には、高裁への訴訟記録到着時点で受付から連絡があるということも少なからずあるのでしょう。
少なくとも、東京高裁が控訴裁判所の場合、高裁の民事受付段階で当事者や訴訟代理人(弁護士)に連絡があることはなく、担当部からの連絡(通常はFAXでの照会書)で初めて、訴訟記録が高裁に到着したことと事件番号、担当部を知ることになるのがふつうです。
通常は、控訴から約1か月後に、控訴裁判所から連絡があり、第1回口頭弁論期日の調整と進行に関する意見照会がありますが、それを過ぎても控訴裁判所から何の連絡もない場合、控訴人側で確認したいときは、控訴裁判所の民事受付に問い合わせることになり(控訴提起事件の番号:高裁への問い合わせならワネ、地裁への問い合わせならハレを伝えて聞きます。第1審の事件番号でも応答できるようですが)、既に控訴裁判所に記録が到着していれば事件番号と担当部を教えてくれますし、まだ到着していないと言われれば、第1審裁判所の担当部に問い合わせることになります(問い合わせなくても、記録の整理未了ということでしょう)。
控訴については「控訴の話(民事裁判)」でも説明しています。
モバイル新館の「控訴(民事裁判)」でも説明しています。
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