◆短くわかる民事裁判◆
控訴審での訴えの変更
第1審の原告、あるいは第1審で反訴した被告(反訴原告)は、控訴あるいは附帯控訴をした上で、控訴審で(第1審でと同様に)訴えの変更をすることができます(民事訴訟法第297条、第143条)。
訴えの変更は、「請求の基礎(せいきゅうのきそ)に変更がない」範囲で、かつ著しく訴訟手続を遅滞させることとならないことが必要です(民事訴訟法第143条第1項)。また請求の減縮(せいきゅうのげんしゅく)に当たる場合は、相手方の同意が必要です(民事訴訟法第261条第2項:訴えの一部取下に当たるため)。
控訴審での反訴の提起には相手方の同意が必要ですが、訴えの変更については相手方の同意は不要です。
この点について最高裁は、「本件のように、控訴審において、請求の基礎に変更のない、請求原因の変更による交替的訴の変更があり、新訴によつて被告敗訴の判決がなされても、請求の基礎に関する部分について、すでに舊訴に関し第一審の審理がなされているのであるから、新訴についても事実上第一審があつたのと同様であり、被告に不当に不利益をこうむらせることはないから、新訴につき審級の利益を失わせるものということはできない。」としています(最高裁1954年2月26日第二小法廷判決)。
控訴については「控訴の話(民事裁判)」でも説明しています。
モバイル新館の「控訴(民事裁判)」でも説明しています。
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