◆短くわかる民事裁判◆
控訴裁判所からの照会書:控訴人側
控訴状を提出して1か月程度すると、控訴人代理人宛にFAXで(代理人が付いていなければ控訴人本人に郵便で)、控訴裁判所(の書記官)から、第1回口頭弁論期日の日程調整と進行についての意見聴取のための照会書が送られてきます。
この照会書の送り状に事件番号、控訴裁判所の担当部・係、書記官名、使用法廷などの情報が記載されていて、通常は、この照会書を見て、事件番号と係属部・係を知ることになります。
照会書は、控訴人側だけに宛てたものが来るときもありますが、両方宛を一体にしたもの(その場合、被控訴人側は原審代理人とか、被控訴人代理人(予定)などと記載されていたりします)が来ることもあります。
第1回口頭弁論期日の日程調整については、現在のところ、第1審とは違って、Web会議でいいかというような聞き方ではなく、基本的に法廷で行うことを前提に、裁判所の都合で4〜6日くらいの候補日のそれぞれ30分刻みくらいで多数の時刻を挙げて、出席の可否を回答するよう(どちらかというと、差し支えの日時を抹消するように)求められます。
訴訟進行に関する照会としては、控訴人側には、控訴審での立証予定、和解についての意向、原審での和解について、関連事件の有無、事件の進行についての意見の各項目についての回答が求められ、控訴理由書の提出期限を記載するのが通例です。
控訴審での立証予定については、この時点ではまだ控訴理由書が完成しておらず、どのような立証をするかは控訴理由書の内容と密接に関わりますので、私は、通常、「未定」「控訴理由書と併せて提出する」などと記載しています。裁判所としては、特に証人申請とか文書送付嘱託・調査嘱託等をするつもりなら早めに言ってくれという考えで聞いているのだと思いますが、もしそれを予定している場合でも、1審と違って控訴審では証人や文書送付嘱託等は簡単には採用してくれないので、採用させようとすればその理由・必要性をきちんと固めて書くことが必要ですから、やはり控訴理由書をきちんと書いてそれと併せて請求した方がいいと私は考えています。
和解についての意向は、依頼者の希望を聞いてそれに合わせて、原審での和解と関連事件は事実のとおり記載します。
事件の進行についての意見は、その事件で何か特別な事情があれば書きますし、なければ特になしになります。
控訴理由書の提出期限については、既に提出済の場合以外は、必ず記載されていますが、その書きぶりは担当部によってさまざまです(提出期限の記載のところに「厳守」と記載する部、それが太字になっている部、必ず守ってくださいと記載している部、期限遵守にご協力願いますと記載している部、さらに文書のみならず期限前から電話してくる部など)。私の印象としては、コロナ禍後は厳しい記載をあまり見ないようになっているように思えます。
控訴裁判所からの照会書が来ると、控訴理由書の提出期限が迫り、また第1回口頭弁論期日もほどなく決まり、控訴審の準備が本格化してきます。
控訴については「控訴の話(民事裁判)」でも説明しています。
モバイル新館の「控訴(民事裁判)」でも説明しています。
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