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短くわかる民事裁判◆
控訴答弁書
 控訴人から控訴理由書が提出されると、それは被控訴人(代理人が付いていれば代理人)に直送されてきます。控訴理由書とともに新たに書証が提出されるときは、それも一緒に直送されてきます。
 控訴理由書が提出されたら、被控訴人側は、それを検討して、控訴答弁書(民事訴訟規則上は、「反論書」ですが、控訴答弁書の方がとおりがいいです)を作成します。
 民事訴訟規則は「裁判長は、被控訴人に対し、相当の期間を定めて、控訴人が主張する第一審判決の取消し又は変更を求める事由に対する被控訴人の主張を記載した書面の提出を命ずることができる。」と定めています(民事訴訟規則第183条)が、命じられるまでもなく、作成提出するのがふつうです。

 控訴答弁書の提出期限は、控訴理由書(民事訴訟規則第182条)とは異なり、法令上の定めはありません。控訴裁判所から送られてくる照会書には、第1回口頭弁論期日の2週間前までにとか、1週間前までにと記載されていることが多いです。
 控訴答弁書も控訴理由書や準備書面と同様、副本は控訴人(代理人)に直送することとされ、FAX送信できます。

 控訴答弁書も、その実質は準備書面ですので、記載方法等は準備書面と同じです。
 事件の表示(通常は、照会書や控訴理由書記載の事件番号と当事者(当事者の表示は自分が「被控訴人」、相手方が「控訴人」です))、「控訴答弁書」の記載(表題は「準備書面」と記載してもかまいません)、日付、宛先(控訴裁判所の部・係)、作成名義人の記名と押印をすれば、あとはどう書こうがかまわず、内容の問題です。
 答弁書ですので、通常は、冒頭に「第1 控訴の趣旨に対する答弁」として、「1.本件控訴を棄却する。2.控訴費用は控訴人の負担とする。」と記載するのが通例です。(ときどき、これを書き忘れた答弁書が出てきて、第1回口頭弁論期日で裁判長が口頭でそこを補足するのを見ます)
 あとはどう書くかは好みの問題だったり、控訴理由書の内容次第ですが、「第2 控訴理由書について」として、控訴人の控訴理由に反論していくのがふつうのパターンでしょう。
 あまり踏み込まずに、控訴人の主張には理由がなく原判決の判示は正当であると書かれた答弁書をよく見ます(第1審の最終準備書面をほぼそのまま引き写した控訴理由書をよく見るのと同様に)。控訴人側で見ると、脱力するというか、ホッとしますが。

 控訴については「控訴の話(民事裁判)」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる 「控訴(民事裁判)」でも説明しています。

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