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利息制限法の制限利率
 利息制限法は、借金(法律用語では「金銭消費貸借(きんせんしょうひたいしゃく)」といいます)の利息と遅延損害金について、上限の利率を定めています。この利率を利息制限法の制限利率とか、単に制限利率(せいげんりりつ)と呼んでいます。貸主と借主の間で決めた利息の利率(法律業界の用語では「約定利率(やくじょうりりつ)」と呼ばれます)が、利息制限法の制限利率を超えている場合は、超えた部分は無効となり、結局、利息制限法の制限利率が適用されます。

 利息については、
  元本の額が10万円未満の場合は年20%
  元本の額が10万円以上100万円未満の場合は年18%
  元本の額が100万円以上の場合は年15%
 と定められています。
 遅延損害金については、利息の1.46倍で
  元本の額が10万円未満の場合は年29.2%
  元本の額が10万円以上100万円未満の場合は年26.28%
  元本の額が100万円以上の場合は年21.9% 
 ということになります。

 元本の額が追加貸付によって増加して区分を超えたとき、その時点からは元本が多い方の区分の制限利率が適用されます。例えば当初50万円を借りていたけれども、その後追加の借入をして残元本が100万円に達したときは、その時点から制限利率は年15%になります。この基準となる残元本は、約定利息が制限利率を超えているときは、約定利率計算での残元本ではなく、利息制限法の制限利率に引き直した後の残元本によるものと扱われています。
 他方、返済によって残元本が減って区分を超えた場合でも制限利率は変わりません。つまり、残元本が100万円に達した場合、その後返済によって残元本が100万円未満になっても、さらには10万円未満になってもずっと制限利率は年15%のままです。

 約定利率が利息制限法の制限利率を超えているときには、借入・返済を一番最初まで遡って制限利率で計算し直します。これを利息制法引き直し計算と呼びます。この引き直し計算の結果、借金は法律上既になくなっており、むしろ返しすぎていたという場合が、過払い(かばらい)です。過払いとなっている場合は、借主が貸主に対して、過払い金の返還請求をすることができます。

※業として金銭の貸付を行う場合に、年20%を超える利息の契約をしたり、年20%を超える利息を受領したり請求することについては「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(略称:出資法)」が罰則(5年以下の懲役または1000万円以下の罰金あるいはその両方)を定めています。

 利息制限法については「弁護士に依頼すると借金が減るわけ」でも説明しています。
 モバイル新館のもばいる 「利息制限法の基礎知識」でも説明しています。
  

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